2024年12月20日からSBI証券で購入できるようになった「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」(愛称:「S・米国高配当株式100」)は、シュワブ米国高配当株ETF(SCHD)に投資することで「ダウ・ジョーンズUSディヴィデンド100インデックス」に連動するように設計された投資信託です。FP資格を持つ証券会社出身のSGO編集者が、通称「SBI・SCHD」のメリット・デメリットをはじめ、SBI証券での購入方法などを解説します。
「SBI・SCHD」とは?SBI証券での買い方や「楽天SCHD」との違いを解説

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「SBI・SCHD」は「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」の通称で、「分配」と「成長」の両方を追求する投資信託です。

 

購入できるのはSBI証券だけとなっており、募集開始初日だけで150.2億円の申し込みがあり、2024年12月20日の運用開始前から注目を集めていました。

 

本記事では、

 

「SCHDはなぜ人気なの?」

「SBI証券ではどうやって買うの?」

「楽天証券で買えるSCHDとはどっちがおすすめ?」

 

のような疑問を持っている人に、「SBI・SCHD」のメリット・デメリットをはじめ、SBI証券で買う方法、「楽天SCHD」との違い、将来もらえる分配金のシミュレーションなどについて、わかりやすく解説します。

 

最後まで読めば、SBI・SCHDの全貌がわかり、あなたの資産運用の選択肢を増やすことができます。配当金生活に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

 

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■おことわり

「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」の愛称は「S・米国高配当株式100」ですが、本記事では通称で「SBI・SCHD」と表記しています。

 

1.「SBI・SCHD」とは

「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」の目論見書
(引用:SBIアセットマネジメント)

 

「SBI・SCHD」(正式名称は「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」)は、米国ETF「シュワブ米国配当株式ETF(ティッカー:SCHD)」に投資することにより「ダウ・ジョーンズUSディヴィデンド100インデックス」という指数に連動するように設計された投資信託です。

 

米国ETF「SCHD」は国内の証券会社では購入できませんでしたが、2024年9月27日より楽天証券が「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」(通称:楽天SCHD)を通じて買えるようにしたことがSNSなどで話題になり、人気ファンドになりました。

 

この投資信託「楽天SCHD」は楽天証券でしか購入できず、SBI証券では満を持して同じ米国ETF「SCHD」に投資する「SBI・SCHD」を2024年12月20日から販売開始。

 

10,000円の基準価額で購入できる募集期間(12月6日~12月19日)だけで596億円超の申し込みがあり、SBI証券ユーザーにとっては待望の商品だったことがわかります。

 

そこで本章では、①投資信託「SBI・SCHD」と②米国ETF「SCHD」のスペックを通じて、SBI・SCHDの特色を解説します。

 

1.1. 投資信託「SBI・SCHD」のスペック

■投資信託「SBI・SCHD」の概要

ファンド正式名称

SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)
(愛称:S・米国高配当株式100)

投資対象 シュワブ・米国配当株式ETF(ティッカー:SCHD)
連動する指数 ダウ・ジョーンズUSディヴィデンド100インデックス
基準価額 10,000円(設定時の基準価額)
純資産総額 596.12億円
信託報酬
(運用管理費用)
0.1238%(税込)
※ETFの経費率0.06%込み
購入時手数料 なし
分配金利回り データなし
→ETF「SCHD」は3.59%(2023年)
参考:ETFの「VYM」は3.18%(2023年)
分配月 3、6、9、12月の年4回
※初回は2025年6月
設定日 2024年12月6日(販売開始は12月20日)
運用会社 SBIアセットマネジメント
購入できる証券会社 SBI証券のみ
新NISAの対応 SBI証券の成長投資枠で購入可

 

SBI・SCHDを購入できるのはSBI証券だけで、課税口座(特定口座もしくは一般口座)の他にも新NISAの成長投資枠で買うこともできます(つみたて投資枠では購入不可)。

 

新NISAの成長投資枠では「毎月分配金」の投資信託は対象外ですが、分配金を「年4回」や「奇数月」など複数回出す投資信託は対象となっています。

 

 

1.2. 米国ETF「SCHD」のスペック

続いて、SBI・SCHDの投資対象となる米国ETF「SCHD」について解説します。

 

SBI・SCHDは運用が始まったばかりでリターンや分配金などのデータがないので、2011年から運用されている本家ETF「SCHD」の実績を知ることで、投資信託「SBI・SCHD」が今後どのようなパフォーマンスをあげるかのヒントをつかめます。

 

■米国ETF「SCHD」の概要

銘柄名 シュワブ・米国配当株式ETF
(ティッカー:SCHD)
投資対象 米国株式
運用の基本方針 「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」
に連動する投資する成果を目指す
株価 26.930ドル(2024年12月19日時点)
資産総額 637.59億ドル(2024年12月19日時点)
 ※1ドル=150円の日本円換算で約10兆円(オルカンの2倍以上!)
経費率 0.06%
配当金利回り 3.59%(2023年)
過去10年間の
増配率

+11.4%(12年連続増配中)
参考:VYMは+7.1%(13年連続増中)
3年:9%
5年:12.88%
10年:11.01%

配当金 3、6、9、12月の年4回
年率リターン 3年:+5.70%
5年:+11.55%
10年:+11.44%
株価成長率 8.7%(10年平均)
運用開始日 2011年10月20日
運用会社 チャールズ・シュワブ・インベストメント・マネジメント・インク

 

米国ETF「SCHD」の最大の特長は、「安定した配当収入(インカムゲイン)」と「株価上昇による値上がり益(キャピタルゲイン)」を両立していること。

 

SCHDの銘柄選定基準は以下のようになっており、基準を満たした約100社の米国企業に投資しています。

 

■米国ETF「SCHD」の銘柄選定基準

 

  • 10年連続配当(「連続増配」である必要はない)
  • 時価総額が5億ドル以上

  1. キャッシュフロー・総負債比率
  2. ROE(自己資本利益率)
  3. 配当利回り
  4. 過去5年間の配当成長率

 

わかりやすく言うと、SCHDの投資対象は、財務基盤が強くて配当金を10年以上連続(過去5年間の増配率も重視)で出している規模が大きい会社ということになります。

 

高配当や連続増配の銘柄を集めたETFや投資信託は他にもありますが、SCHDは「連続配当」に着目。何らかの要因で一時的に配当利回りが高い銘柄や、財務基盤が弱いにもかかわらず無理して増配を続けている銘柄は除いています。

 

その結果、米国S&P500指数ほどではありませんが、SCHDの株価は2011年の設定開始から右肩上がりとなっており、13年間で約3.3倍に成長しています(SCHDは2024年10月10日に1株を3株にする株式分割を実施)。

 

SCHDの株価チャート
(引用:米国Yahoo!Finance

 

このように、SCHDに投資すると「配当金」と「株価成長」の両方を期待できます。

 

ちなみに、配当利回りが高いことで人気の米国ETFに「VYM」がありますが、VYMの増配率(過去10年間)が+7.1%なのに対して、SCHDの増配率(過去10年間)は+11.4%となっているのも見逃せません。

 

・米国ETF「SCHD」の構成銘柄上位10社

約100社で構成されているSCHDの銘柄をmoomoo証券のアプリを使って調べると、最新の上位10銘柄(2024年12月17日時点)は次のようになっています(moomoo証券では6,000銘柄以上の米国株を購入できますが、SCHDの情報は見れても買うことはできません)。

 

■「SCHD」の構成上位10銘柄(2024年12月18日時点)

  銘柄名 ティッカー 比率

1

ブラックロック・ファンディング

BLK

4.69%
2 シスコシステムズ CSCO 4.67%
3

ブリストル・マイヤーズ

BMY 4.58%
4

ホームデポ

HD

4.44%

5

シェブロン

CVX

4.13%
6 ベライゾン・コミュニケーションズ VZ 3.90%
7 ファイザー PFE 3.69%
8

アルトリア・グループ

MO 3.66%
8 ユナイテッド・パーセル・サービス クラスB UPS 3.66%
8

テキサス・インストゥルメンツ

TXN

3.66%

 

ご覧のように、SCHDの1社あたりの比率は4%程度に抑えられており、特定の1社の株価変動がETFの価格に与える影響は抑えられています。

 

また、SCHDの構成銘柄にはグーグルやアップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、エヌビディアなどのS&P500指数では主力のハイテク銘柄は含まれておらず、成長株より割安株が多いのも特徴の1つです。

 

そのため、資産形成は「米国株式」のインデックスファンドを主軸にしつつ、「SBI・SCHD」をポートフォリオに組み入れることで銘柄分散をすることもできます。

 

・米国ETF「SCHD」のセクター別投資割合

ETF「SCHD」の業種別の投資割合を「Seeking Alpha」のサイトを使って調べると、次のようになっています。

 

ETF「SCHD」の業種別投資割合
■ETF「SCHD」の業種別投資割合

 

円グラフを見ると、SCHDの投資先は特定の業種に偏ることなく、1業種あたり25%以下でバランスよく投資していることがわかります。

 

また、「健康管理(黄色)」や「消費者防衛(緑色)」などの割合が多い一方、テクノロジー(ピンク色)の割合は10.68%に抑えられています。このように、SCHDはディフェンシブの業種の割合が多く、景気悪化時にも配当を期待した買いが入り、下値に対する耐性が強いことが考えられます。

 

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2. SBI証券での「SBI・SCHD」の買い方【スマホ】

スマホを持っている女性
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

SBI・SCHDのファンドの特徴をつかんだところで、SBI証券でSBI・SCHDをスマホ専用サイトで買う手順を解説します。ここでは、3万円を特定口座で現金決済で金額指定(スポット買付)する方法を紹介します。

 

■ワンポイントアドバイス

SBI証券の場合、「積立買付」もしくは「口数買付(スポット買付)」を選ぶと、最初は「再投資型」を選んだものとして買付が実行されます。

「受取型」にするには、受け渡し完了後(約定日から3営業日)に保有証券一覧から該当銘柄を選択し、分配金受取方法を「受取型」に変更しましょう。

一方、「金額指定(スポット買付)」の場合は、注文入力時に「再投資型」「受取型」を選択することができます。

 

SBI証券の投資信託取引サイトは2024年7月にリニューアルされ、以前より使いやすくなりました。従来の投資信託取引サイトは今後閉鎖される予定なので、新しい画面に慣れておきましょう。

 

SBI証券のスマホサイトでSBI・SCHDを買う流れは、次の5ステップです。

 

 

順番に解説します。

STEP1:ログイン後、「投資信託 新取引サイト」に進む

SBI証券のスマホ専用サイトにログインします。

 

スマホ専用サイトにログイン


クイックメニューから、「投資信託トップ」をタップしてください。

 

投資信託トップ

 

旧サイトでも注文できますが、ここでは「投資信託 新取引サイト」に進みます。

 

投資信託 新取引サイト

 

STEP2:ファンドを探して、該当銘柄をタップ

投信取引のトップ画面から少し下にスクロールすると「ファンドを探す」があるので、検索窓に「SBI・S」と入力して右側の「検索」をタップしてください(「詳細な条件で探す」や「ランキング」など、他にも探し方はあります)。

 

ファンドを探す

 

すると、ファンド名に「SBI・S」の入った銘柄一覧が表示されるので、「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」をタップしてください。なお、「SBI・SCHD」は通称なので、「SCHD」で検索しても表示されません。

 

SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)

 

STEP3:「買付」をタップして注文内容を入力する

ファンドの基準価額や概要などの情報が載った画面が表示されるので、必要に応じてチェックしましょう。そして、「買付」をタップしてください。

 

買付

 

すると、その銘柄を初めて注文する場合は目論見書(投資信託の説明書のようなもの)と補完書面が表示されます。

 

目論見書

 

目を通して「同意します」にチェックを入れて、「同意して注文入力>」をタップしてください。

 

同意して注文入力

 

すると、「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」の注文画面が表示されるので、入力していきます。

 

注文入力①

 

注文入力②

 

① 取引種別

現金決済のスポット買付の場合は、「金額買付」「口数買付」から選べます。ここでは、「金額指定」を選択します。

 

② 預り区分

どの口座で買付するかを選択します。SBI証券でNISA口座を開設している場合は、ここに「NISA」も表示されます。

 

③ 買付金額

買付金額を入力します(最低100円以上)。ここでは「30,000円」にします。

 

④ ポイント利用

SBI証券では、VポイントとPontaポイントに限り、投資信託のスポット買付にポイントを利用できます。必要に応じて入力しましょう。

 

⑤ 分配金受取方法

金額指定の場合、注文時に分配金受取方法を「再投資」と「受取」のどちらかを選択できます。

 

SBI証券は途中で分配金の受取方法の変更(「再投資」⇔「受取」)ができるので、ここでは「再投資」を選びます。

 

STEP4. 取引パスワードを入力する

すべて入力したら、取引パスワード(ログインパスワードとは異なる)を入力して「注文確認>」をタップします。

 

取引パスワード

 

STEP5:注文内容を確認後、「注文発注」をタップして完了

注文内容を上から下まで確認したら、最後に「注文発注>」をタップします。

 

次の画面のように、「ご注文を受付いたしました」と表示されたら完了です。

 

ご注文を受付いたしました

 

確認や取消をする場合は、その下の「注文照会>」から行います。

 

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3.「SBI・SCHD」のメリット5つ

メリット
(※写真はイメージです/PIXTA)
 

本章では、SBI・SCHDに投資する一般的なメリットを次の5つに絞ってお伝えします(楽天SCHDにはない、SBI・SCHD特有のメリットは5章で解説します)。

 

 

それぞれ解説します。

 

メリット①:分配金を年4回受け取れる

SBI・SCHDの分配金月
(引用:SBIアセットマネジメント)

 

SBI・SCHDは「3月・6月、9月・12月の各19日」の年4回が決算日となっており、分配金の受取方法を「受取」にしておくと、数日後にSBI証券の口座に分配金が振り込まれます。

 

そのため、「定期的にお小遣いがほしい」「将来、年金以外にも不労所得があったら安心」という人にSBI・SCHDは特におすすめです。

 

なお、SBI証券の「投信分配金自動振込サービス」を利用すると、振り込まれた分配金を指定した金融機関の口座に自動で振り込むこともできます。

 

メリット②:増配率も高い

増配率のイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

米国ETF「SCHD」の配当利回りは3.59%(2023年)となっており、SCHDに投資する投資信託「SBI・SCHD」の分配金利回りも3.5%程度(税引前)になるはずです。

 

さらに、SCHDは「増配率」も高く、高配当で人気の米国ETF「VYM」よりも総じて高くなっているのが特長です。

 

■「SCHD」と「VYM」の増配率の比較

増配率 SCHD VYM
3年 +9.54% +6.95%
5年 +12.00% +5.32%
10年 +11.13% +6.81%

 

上記の増配率データを見ると、SCHDの将来の配当利回りは3.59%(2023年)よりも高くなり、SBI・SCHDの保有残高の増加とともに受け取れる分配金も増えていくことが期待できます。

 

メリット③:基準価額の上昇も期待できる

株価上昇のイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

米国ETF「SCHD」の株価は、3%超の配当利回りと連続配当を裏付けとして、2011年の運用開始からなだらかに上昇しており、13年間で約3.3倍に成長しています。

 

SCHDの株価チャート
(引用:米国Yahoo!Finance

 

これは、高配当株式は相場が暴落しても配当金がもらえる安心感から買われることが多く、下値に対する耐性が強いことが要因としてあげられます。ましてやSCHDは過去5年間の「増配率」も重視しているので、増配期待から配当金を目当てにした買いが入りやすくなります。

 

そのため、米国ETF「SCHD」に投資するSBI・SCHDも、「分配金の受け取りによるインカムゲイン」だけではなく、「投資信託の基準価額の上昇によるキャピタルゲイン」も期待できるということになります。

 

メリット④:新NISAの成長投資枠でも買える

SBI証券の新NISA(成長投資枠)
(引用:SBI証券)

 

SBI・SCHDは、SBI証券の課税口座(特定口座もしくは一般口座)だけではなく、新NISAの「成長投資枠」でも購入できます(つみたて投資枠では購入不可)。

 

NISA口座でSBI・SCHDを買付すると、本来は値上がり益に対してかかる約20%の税金が非課税になるだけでなく、受け取る分配金にかかる税金は外国課税の10%だけで済みます。

 

メリット⑤:特定口座で分配金を受け取ると「二重課税調整」で税金が約20%に軽減される

ポイント
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

メリットの5つ目は少し難しいので、結論だけ押さえておけば大丈夫です。

 

SBI証券の特定口座でSBI・SCHDを買付すると、2020年から開始された「二重課税の調整」により、分配金を受け取るときの税金が従来の約30%から約20%に軽減されます。整理すると、次のようになります。

 

■口座の違いによる投資信託の「分配金」にかかる税金

 

  • NISA口座:約10%
  • 特定口座:約20%

 

分配金が多くなると税率の違いによって受取額も変わってくるので、どの口座でいくら買付するかの方針を決めてから計画的に投資しましょう(分配金の受け取りシミュレーションは6章で解説)。

 

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4.「SBI・SCHD」のデメリット3つ

デメリット
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

メリットの次は、SBI・SHCDに投資する前に知っておきたい注意点を3つ解説します。

 

 

それぞれ解説します。

デメリット①:分配金が出ることで複利効果が薄れる

チャート比較
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

SBI・SCHDは分配金だけではなく基準価額の上昇も期待できる投資信託ですが、株価の値上がり率は「S&P500指数」に連動するインデックスファンドよりは劣ります。

 

米国ETF「SCHD」とS&P500指数に連動する米国ETF「VOO」の直近3年間の株価チャートを「ETFreplay.com」のツールを利用して比較してみましょう。

 

SCHDとVOOの比較チャート

 

ご覧のように、水色の「VOO(S&P500指数)」のほうが緑色の「SCHD」よりもリターンが高いことがわかります。

 

この理由は、S&P500指数をベンチマークにした「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のようなインデックファンドは分配金が自動で再投資されることでお金がお金を生む複利効果が働き、株価が上昇しやすいことがあげられます。

 

一方、SBI・SCHDのような分配金が出るファンドは分配金の分だけ基準価額が下落するのが一般的なので、複利効果は働きづらくなっています。ただし、「SCHD」は配当金を年4回出しても株価が上昇している点に凄みを感じます。

 

デメリット②:購入できるのはSBI証券のみ

SBI証券のゼロ革命
(引用:SBI証券)

 

SBI・SCHDが買えるのは、今のところSBI証券のみです。SBI証券の口座を持っていない人は、これを機に口座開設を検討しましょう。

 

なお、楽天証券でも同じ米国ETF「SCHD」に投資する「楽天SCHD」を買うことができますが、信託報酬はSBI・SCHDより0.06%程度高くなっています(「SBI・SCHD」と「楽天SCHD」の比較は5章で解説)。

 

デメリット③:「再投資型」にすると、分配金の再投資分もNISAの非課税枠を消費する

迷っている女性
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

分配金の受取方法を「再投資」にするか「受取」にするかに正解はありません。

 

ただし、NISA口座で「再投資」を選ぶと分配金が自動でNISA口座で再投資され、その年のNISA(成長投資枠)の非課税枠を消費してしまう点に留意してください。

 

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5.「SBI・SCHD」と「楽天SCHD」を比較…どっちがおすすめ?

どっち?
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

さて、2024年9月27日より楽天証券で「楽天SCHD」が買えるようになって「SCHD」の存在を知った人も多いはず。

 

そこで気になるのが、「SBI・SCHD」と「楽天SCHD」は何が違って、どっちを買ったほうがいいのか?ということ。

 

まずは比較表で見てみましょう。

 

■「SBI・SCHD」と「楽天SCHD」の違い

愛称 SBI・SCHD 楽天SCHD
ファンド名

SBI・S・米国高配当株式ファンド
(年4回決算型)

楽天・高配当株式・米国ファンド
(四半期決算型)

投資対象ETF

シュワブ・米国配当株式ETF(ティッカー:SCHD)

信託報酬(①) 年率0.1238%程度
(税込)
年率0.192%程度
(税込)
投信保有ポイント
の付与率
(②)
年率0.022%
(投信マイレージ)
なし
実質コスト
(①ー②)
0.1018% 0.192%
決算日
(分配月)
3、6、9、12月の各19日
→振り込みは数日後
2、5、8、11月の各25日
→振り込みは5営業日後
設定日 2024年12月6日 2024年9月18日
運用会社 SBIアセットマネジメント 楽天投信投資顧問
購入できる証券会社 SBI証券 楽天証券

 

ご覧のように、「SBI・SCHD」と「楽天SCHD」の投資先は同じですが、細かい点で異なることがわかります。

 

そこで本章では、「楽天SCHD」にはなくて「SBI・SCHD」だけのメリットを3つ紹介します。

 

 

 

それぞれ解説します。

「SBI・SCHD」特有のメリット①:信託報酬が安い

コストダウン
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

信託報酬(投資信託の運用や管理にかかるコスト)は、SBI・SCHDが0.1238%(年率)である一方、楽天SCHDは0.192%(年率)となっており、SBI・SCHDのほうが0.0682%安くなっています。

 

支払う金額は投信保有残高に信託報酬率をかけて算出されるので、信託報酬の違いは保有年数と保有額が増えていくにつれて大きなコスト差となって表れます。

 

ただし、楽天証券も楽天SCHDの信託報酬を下げてくる可能性があるので、すでに楽天SCHDに投資している人は、今すぐ売却してSBI・SCHDに乗り換える必要はないと筆者は考えます。

 

「SBI・SCHD」特有のメリット②:投信保有ポイントがつく

投信保有ポイントのイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

投資信託の平均保有残高に対して付与されるポイントが投信保有ポイントで、SBI証券の「投信マイレージ」では、SBI・SCHDのポイント付与率は0.022%(年率)となっています。SBI・SCHDの信託報酬は0.1238%(年率)なので、実質的なコストは0.1018%(=0.1238%-0.022%)まで小さくなります。

 

一方、楽天証券にも「投信残高ポイントプログラム」がありますが、対象銘柄は楽天・プラスシリーズの6銘柄のみ。楽天・SCHDは対象外となっています。

 

楽天証券には「資産形成ポイント(ハッピープログラム)」もありますが、毎月末時点の投資信託の残高が初めて一定の金額に到達した場合のみ所定の楽天ポイントが付与される仕組みなので、ポイントはほとんど貯まりません。

楽天証券の「資産形成ポイント(ハッピープログラム)」
 
基準残高に応じた進呈ポイント
(引用:楽天証券)

「SBI・SCHD」特有のメリット③:NISA口座でも途中で分配金の受取方法を変更できる

ライフステージ
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

楽天証券では、NISA口座に限り分配金コースの変更(「再投資型」⇔「受取型」)ができません。そのため、楽天SCHDをNISA口座で購入するときは、「再投資型」にするか「受取型」にするかを慎重に決める必要があります。

 

一方、SBI証券では、NISA口座でも課税口座(特定口座もしくは一般口座)でも、投資信託の分配金の受取方法を途中で変更(「再投資」⇔「受取」)することができます。

 

したがって、SBI・SCHDなら、たとえば60歳までは分配金を「再投資型」にして複利効果で資産を最大化し、60歳以降は「受取型」に変更して早期退職するといった年齢に応じた投資戦略が可能になります。

 

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6.「SBI・SCHD」の分配金シミュレーション

シミュレーション
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ここまでSBI・SCHDの特徴を解説してきましたが、最大の関心事は「いくら投資すると分配金をいくら受け取れるか」だと思います。

 

本章では、米国ETF「SCHD」の過去10年間の運用実績をもとに、月3万円、月5万円、月10万円を買付した場合に受け取れる分配金のシミュレーション結果をお伝えします。ただし、毎月の買付だと計算が複雑なので、年初に一括投資した場合の試算である点をご了承ください。数値は、増配率(+10%)以外は保守的に見て低めにしています。

 

ちなみに、SBI証券の場合は、NISA口座でも課税口座(特定口座もしくは一般口座)でも分配金の受取方法を途中で変更(「再投資」⇔「受取」)できるので、ここではメリットを活かして「再投資」を選択します。

 

■シミュレーションに使った数値

 

  • 分配金利回り:3.0%
  • 増配率:+10%
  • 株価成長率:+5%
  • 初期投資額:なし
  • 毎月の積立額:3万円、5万円、10万円
  • 分配金の再投資:する
  • 分配金の税率:NISA口座は10%、課税口座は20.3%

 

結果は以下のとおりです。なお、NISA口座で月10万円を買付する場合は10年間で成長投資枠の上限額(1,200万円)に達するので、11年目以降は新規買付はできず、分配金の受け取りのみになります。

 

■「年間」で受け取れる分配金(単位:万円)

口座 毎月の
積立額
1年 3年 5年 10年 15年 20年
NISA
口座
3万円 0.9 3.4 6.8 21.8 54.6 129.2
5万円 1.6 5.7 11.4 36.4 91.2 215.6
10万円 3.5 11.4 22.8 72.8 成長投資枠の上限1,200万円到達
により、新規の積立設定はなし
特定
口座
3万円 0.8 3.0 6.0 18.9 46.6 107.9
5万円 1.4 5.0 10.0 31.6 77.9 179.8
10万円 2.8 10.1 20.0 63.3 155.9 360.0

 

ご覧のように、年間で受け取る分配金は加速度的に増えていきます。

 

特定口座で月3万を積立設定した場合は、7~8年で年間12万円(月1万円)、14~15年で年間36万円(月3万円)、17~18年で年間60万円(月5万円)の分配金を受け取れる試算です。

 

ただし、年率+5%で順調に株価が成長することはないことに加えて、実際は毎月買付していくので、実際は上記の試算より少なくなるはずです。あくまでも参考程度にしてください。

 

年間いくらの分配金を受け取れたら生活が楽になりそうかを考えて、計画的に毎月の積立額を決めましょう。

 

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7. よくある質問

Q&A
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最後に、SBI・SCHDに関して、今後想定される質問に7個回答します。本文と重複する箇所もありますが、復習にお役立てください。

Q1.「SBI・SCHD」はいつから買えますか?

2024年12月20日からSBI証券で買えるようになりました。

 

Q2. 注文画面で「SBI・SCHD」が表示されない場合は?

「SBI・SCHD」は通称なので、銘柄検索で「SCHD」と入力してもヒットしません。

 

正式名称は「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」なので、「SBI・S」や「米国高配当株式」で検索して、一覧から「SBI・SCHD」を選びましょう。

 

Q3. SBI・SCHDの「分配金」はいつからもらえますか?

SBI・SCHDの分配月は「3・6・9・12月」の年4回ですが、初回は2025年6月となっています。

 

なお、分配金がSBI証券の口座に実際に入金されるのは、3、6、9、12月の各19日(決算日)の数日後です。

 

Q4. 分配金の受取方法は「再投資」と「受取」のどっちがいいですか?

正解はありませんが、分配金を定期的に受け取ることが投資するモチベーションにつながる人は「受取」、複利効果で運用資産を効率よく増やしたい人は「再投資」がおすすめです。

 

ただし、SBI証券の場合は途中で分配金の受取方法を変更(「再投資」⇔「受取」)ができるので、最初は「再投資型」で資産を最大化することを優先させ、分配金を受け取りたいタイミングで「受取型」に変更するのも1つの方法です。

 

Q5. 注文時に分配金を「再投資」するか「受取」にするか選べないのはなぜ?

SBI証券の場合、投資信託の「積立買付」もしくは「口数買付(スポット買付)」を選ぶと、最初は分配金の「再投資」を選んだものとして買付が実行されます。「受取」にしたい場合は、受渡し完了後(約定日から3営業日)に保有証券一覧から該当銘柄を選択し、分配金受取方法を「受取」に変更しましょう。

 

一方、投資信託の「金額指定(スポット買付)」の場合は、注文入力画面に分配金受取方法として「再投資」「受取」を選択するチェックボックスが表示され、注文時にどちらかを選ぶことができます。

 

Q6.「特定口座」と「NISA口座」ではどっちで買ったほうがいいですか?

正解はありませんが、NISAの非課税保有限度額に余裕があるなら、NISA口座のほうがおすすめです。受け取る分配金にかかる税金が外国課税の約10%だけで済みます。

 

他社でNISA口座を開設している人がSBI・SCHDを買う場合は、SBI証券の課税口座(特定口座もしくは一般口座)で買うしかありません。

 

Q7.「一括投資」と「積立投資」はどっちがおすすめですか?

正解はありませんが、一括投資のほうが購入後に基準価額が大きく下落することなく上昇すれば、値上がり益に加えて早くから分配金を受け取れるので、お金に余裕のある人にはいいかもしれません。

 

ただし、値動きを予想することはできないので、積立買付で毎月一定額を購入し、ドルコスト平均法で購入価格を平準化するやり方のほうが相場の急落にも耐えることができ、特に初心者にはおすすめです。

 

8. まとめ

(SBIグローバルアセットマネジメント公式YouTubeチャンネル『朝倉智也 徹底解説!!「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」の魅力!』)

 

この記事では、SBI・SCHDをSBI証券で買う方法を中心に、「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」の全貌を解説しました。

 

SBI証券はSBI・SCHD以外にも分配金を年4回受け取れるファンドの商品ラインナップが充実しており、組み合わせることにより、分配金をほぼ毎月受け取るポートフォリオを作ることもできます。

 

(引用:SBI証券)
■SBIアセットの米国高配当・増配株式(年4回決算型)ファンドの概要 (引用:SBI証券)

 

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