非課税枠は110万円だが…「毎年400万円以上の贈与」でも税金対策になる驚きの理由【税理士が解説】

非課税枠は110万円だが…「毎年400万円以上の贈与」でも税金対策になる驚きの理由【税理士が解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

贈与税の基礎控除額は年間110万円で、この金額を超過した分には課税されることから、なんとか基礎控除額の範囲内に抑えて贈与を続けている人は少なくありません。しかし、なかにはあえて「年間400万円以上の贈与」を続けることで、税金対策をしている人がいると、岡野相続税理士法人の代表社員、岡野雄志税理士はいいます。非課税枠を超えた贈与を続けながら、結果的に税金対策を実現できるのはなぜなのか……具体的な数字を交えながら詳しくみていきましょう。

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      富裕層は贈与税を払っても「連年贈与」したほうが得?

      仮に、被相続人の財産総額は8億円で、相続人は配偶者と2人のこどもとしましょう。法定相続分で分配し、配偶者は1/2の4億円、残り4億円をこどもが1/2ずつ各2億円相続したとします。配偶者控除と基礎控除を差し引いた、相続税額の概算は1億3,120万円となります。

       

      被相続人が生前、8億円の財産から毎年400万円ずつ、配偶者と成人したこどもに10年間「連年贈与」したとします。基礎控除を差し引いた贈与税額は1,005万円。残り6億8,000万円にかかる相続税額は1億0,420万円。一度に相続させるより、税額は1,695万円抑えられます。

       

      「暦年課税」を適用すると、長期間の贈与ほど相続のみの場合より税負担が減ります。生前対策は早いほどよいといわれる所以です。

       

      もちろん、財産の種類、財産額、財産を渡す人や数など、ケースによって異なりますから、一概に財産がいくら以上なら贈与が得とはいえません。

       

      しかし、相続税額と贈与税額を計算し、比較することで、各々のケースごとに「損益分岐点」を見極めることはできます。なお、相続発生前3年以内の贈与には相続税が課せられる場合があるので、注意が必要です。

       

      また、贈与税には、配偶者、兄弟、未成年の子や孫に対する「一般税率」と、成人した子や孫が対象の「特別税率」があるので、贈与のタイミングも重要です。

       

      相続税額の基本的な計算方法

      ステップ1:各相続人の相続税課税額を計算

       

      相続財産総額-非課税財産額(※)+相続時精算課税適用による贈与財産額-債務&葬式費用の額=純相続財産額

       

      ※非課税財産額:墓地、墓石、仏壇、仏具、公益事業に使用される物、生命保険金(500万円×法定相続人数)、退職手当金等(500万円×法定相続人数)、個人経営の幼稚園事業に使われる費用など

       

      純相続財産額+相続開始前3年以内の贈与財産額=各相続人の相続税課税額


      ステップ2:各相続人の課税額を合計して相続税の課税合計額を計算

       

      ステップ3:相続税の課税合計額から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を計算

       

      相続税の課税合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額


      ステップ4:法定相続分で相続したものとして、各法定相続人の取得金額を計算

       

      課税遺産総額×各相続人の法定相続分=各法定相続人の取得金額(1,000円未満切り捨て)


      ステップ5:各法定相続人の取得金額に税率を掛けて、各々の相続税の算出税額を計算

       

      各法定相続人の取得金額×税率-控除額=算出税額


      ステップ6:各法定相続人の算出税額を合計して相続税の課税総額を計算

       

      ■法定相続分に応ずる取得金額ごとの税率と控除額

      1,000万円以下:10%/控除額なし
      3,000万円以下:15%/50万円
      5,000万円以下:20%/200万円
      1億円以下:30%/700万円
      2億円以下:40%/1,700万円
      3億円以下:45%/2,700万円
      6億円以下:50%/4,200万円
      6億円超:55%/7,200万円

       

      贈与税の基本的な計算方法(暦年課税)

      贈与があった年(1月1日~12月31日の1年間)の贈与財産額-基礎控除額110万円=贈与税の課税価格


      贈与税の課税価格×税率-控除額=贈与税額


      ※贈与税は原則として受贈者が申告・納税するため、上記は受贈者1人に対する贈与税額の計算となる。贈与税の課税価格が0またはマイナスなら、申告・納税の必要はない。

       

      ■贈与税の課税価格ごとの税率と控除額

       

      〈一般税率〉
      200万円以下:10%/控除額なし
      300万円以下:15%/10万円
      400万円以下:20%/25万円
      600万円以下:30%/65万円
      1,000万円以下:40%/125万円
      1,500万円以下:45%/175万円
      3,000万円以下:50%/250万円
      3,000万円超:55%/400万円


      〈特別税率〉
      200万円以下:10%/控除額なし
      400万円以下:15%/10万円
      600万円以下:20%/30万円
      1,000万円以下:30%/90万円
      1,500万円以下:40%/190万円
      3,000万円以下:45%/265万円
      4,500万円以下:50%/415万円
      4,500万円超:55%/640万円

       

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