「売る」より「つながり」のほうが大事
■新規開拓ではなくファンづくりの時代がやって来た!
この本はもはや従来の「営業本」ではありません。
結論から言うと「売る」より「つながり」のほうがずっと大事だから目先の利益に走らないほうがいいという話です。これって一部の人からするとぬるく聞こえてしまうかもしれませんが、人口減少、高齢化、若者の購買意欲減少、不景気なのに物価が上がるというスタグフレーションの渦中にいる我々日本人は本当に崖っぷちにいるわけで、早急にセールスの概念を「売る」から「つながり」に変えていく必要があるのだと私は思っています。
言いかえると「売れる」から「選ばれる」に変わっていきます。リアルに「買ってくれる人が減っていく」からです。もちろん、これからも人はモノを欲っし、サービスを買い続けていきますし、今後伸びる業界に身を置いて圧倒的な勝ちを取るという方法だってあります。
でも、それは本当に一部の限られた人たちとなります。では、「買ってくれる人が減っていく」という厳しい現状で私たちはいったいどうしたらいいのでしょうか?答えはとてもシンプルです。それこそが「ファンをつくること」なのです。
人口が減り、消費も減るという未来に向かっての施策は1人のお客さまがあなたの商品やサービスを何度も何度も買ってくださる。1人のお客さまからどんどん新しいお客さまに広がり続けるというシステムをつくるということです。そのためには商品だけでなく、あなた自身のファンになってもらう必要があります。
「え、今まで伝えてきた「売れる」というテーマと違うの?」と、これまで私の本を読んでくださった方々は戸惑うかもしれないですよね? はい、基本は同じなのですが、力をいれるところが変わってきています。
■「これまで買ってくれなかった」お客さまもファンに!
私はときどき友人に「どこかいい不動産屋さんはないか?」と聞かれることがあります。私はそのたびに自分が好きな不動産会社ではなく好きな営業担当さんを激推ししています。
実は私はその人から物件を一度も購入したことはないのですが、以前購入を検討していた時にとても親身になって相談に乗ってくれた人なのです。
迷ったあげくに結局は買わなかった私に対しても態度が変わることなく、その後も丁寧なやりとりを続けてくださる、その神応対にファンになってしまったのです。実際に、私には売れなかったのですが、私の友人は購入したわけですから、彼の営業実績は確実にファンづくりから生まれています。
購入にいたらなかったお客さまに対して再度アプローチすることは今までの営業でも普通にあったかと思いますが、それはあくまでも「新しい商品がでました!」「再度ご検討されてみませんか?」という売り込みが主流でした。けれど、買わなかった人に何度も買え買えと勧めると、相手は逃げたくなってしまいます。断ることにも体力がいるし、面倒になってくるからです。また、しつこい営業人にも辟易してしまいます。
ファンづくりにおいて、売り込みではなく、会社や自分のファンになっていただくにはどうしたらいいのか? と、まずは考えてみることが大切です。
わが社でも、講演や研修のお問い合わせをいただき、ご予算が合わなくて成約にいたらなかった企業さまに対して本をお送りしています。この段階では今後いつか成約になるかはあまり期待していません。それは、決して売り込みセールスではなく「つながり」をつくることを目的としているからです。
多くの人の中から「和田裕美」を見つけて検討する段階まで考えてくださった先方のお時間に対して感謝を表すことを何より優先した行動です。
「今日のNOは明日のYES」に変わります。
売ろうとするのではなく、一緒にわくわくすることを第一に考えていると結果がついてくるのです。
和田 裕美
作家、株式会社HIROWA代表取締役