(※写真はイメージです/PIXTA)

「足の速さは、もって生まれた才能である」と考える方も多いかもしれませんが、誰しもが速く走れる可能性を秘めていることが近年の研究で明らかになってきました。ジャマイカでウサイン・ボルト氏とトレーニングした経験を基に「走りの学校」を創設した和田賢一氏の著書『走り革命理論 今まで誰も教えてくれなかった「絶対に足が速くなる」テクニック』から一部抜粋し、「誰でも足が速くなる走り方」について解説します。

踵を地面に着けると秒速10mでは走れない、物理的理由

和田 ちなみに、秒速10mで走る場合、1歩あたりの地面に足が着いている時間(=接地時間)はどれくらいだと思いますか?

 

父親 わからないですが、そこまでの速さになるとほんの一瞬ではないでしょうか?

 

和田 ありがとうございます。正式なデータでは、スプリンターの接地時間はおおむね0.1秒と出ています。逆に0.2秒以上の接地時間がかかってしまう人で秒速10mを達成できる人は、研究論文を読んでも僕の知る限りひとりもいません。

 

父親 正直言って、0.1秒とは想像のつかない世界ですね……。

 

和田 今、テンポよく手拍子をしていただけますか?

 

父親 えっと、こうでしょうか? (パンパンパンパンと手拍子をする)

 

和田 ありがとうございます。手拍子をしているときの、手と手が触れている時間が、だいたい0.1秒くらいと言えばイメージがつきやすいと思います。

 

父親 え、一歩あたり、たったこれだけの時間しか地面に足を着かないんですか!?

 

和田 そうなんです。なぜ足が速い人の接地時間が例外なく短いかというと、足が2本あるという人間の身体の特性上、そして、その足を交互に地面に着きながら前進していく走るという運動の特性上、秒速10mで走るためには接地時間を0.1秒に抑えないと、動きを継続することができないのです。

 

父親 えっと、どういうことでしょうか。わかるような。わからないような……。

 

和田 では、別の切り口からご説明しますね。

 

秒速10mで走るということは、身体の上体が1秒間で10m進むということです。もし、このときに片足を0.2秒地面に着けてしまうと、身体はどのような状態になりますか?

 

父親 えーと、0.2秒足を着いてしまうと、上体だけ2m進まなければ秒速10mには達しないということですかね……ん? 足を地面に着きながら上体を2m進める……そんなことは不可能ではないでしょうか?

 

和田 そうなんです。地面に接地している時間が0.1秒より長いと、足の長さの観点から物理的に速度が上がる限界があり、その速度は世間一般的にイメージする足が速いという速さを下回ってしまうんです。

 

多くの方を指導させていただくなかでわかったことは、皆さん「速く走るためには、強い力を地面に伝える必要がある」ことは感覚的に理解しています。だけど、「“ものすごく短い時間で”強い力を発揮する必要がある」ということはあまり理解できていません。

 

父親 なるほど。つまり速く走るためには0.1秒の接地が必要不可欠なんですね。

 

和田 そのとおりです。そして、その短さとは、踵から地面に着いて達成できるものではないのです。

次ページ0.1秒の接地時間を実現するのに不可欠な条件
走り革命理論 今まで誰も教えてくれなかった「絶対に足が速くなる」テクニック

走り革命理論 今まで誰も教えてくれなかった「絶対に足が速くなる」テクニック

和田 賢一

KADOKAWA

YouTube登録者数14.7万人の【走りの学校】校長・和田賢一が伝授! ジャマイカでウサイン・ボルト氏とともにトレーニングした経験を基に構築した至高の理論。走りには「ランニング」と「スプリント」の2種類あることから始まり…

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