「過去問」は入試本番と同じ条件で挑戦
▶どのように取り組む?
過去問に取りかかる上で、やってほしいことが二つあります。
①自己採点の答案は合格作戦の材料にする
先ほども述べましたが第一志望校の場合、「どの領域のどんな問題がどんなかたちで出題されるのか」を知って、そこを重点的に効率よく勉強しておきましょう。出題の傾向や形式を知ることは、得点アップを狙うために必要な情報です。
手始めに、過去問にある時期の古い入試問題から、その学校の出題形式や特徴に慣れるために解き始めました。解いてみることで、現状の学力で「どの問題で何点取れるのか」を知ることができます。
例:数学の入試問題構成 ➡ 計算/方程式/作図/関数/平面図形/空間図形
出題の傾向は例年変わらないことが多く、入試説明会に参加するとそのあたりの情報も聞くことができます。そこで合格を目指すための対策を考えます。例に挙げた数学の問題の中で、自分が入試までに「どこを」「何点」伸ばせるのか、過去問を通して目標設定をし、タスクを考えて勉強していったというわけです。
例【過去問から考えた対策】
●計算問題・方程式はミスをなくす
●作図、関数、平面図形は、小問1〜3まで全問解けるように
●空間図形は、小問1は解き、2・3はできなくてもよい
このように、過去問を解く理由は、出題の形式に慣れることに加え、ライバルに差をつける問題を選んで、具体的に対策することにあります。もちろん満点を目指せればよいですが、満点でなくても合格はできます。入試日までの限りある時間に、本人が得点を伸ばせる領域を絞って勉強することは、とても大切な作戦だといえるでしょう。
また、過去問を自己採点した答案を分析してみましょう。例えば、「もう少し時間があれば正解できた」問題があれば、時間配分や問題を解く順序などを工夫できるかもしれません。手応えがあった問題であれば、次は正答できるように重点的に勉強してみましょう。
このように過去問を演習すれば、合格ラインに近づくためのヒントが見えてきます。恐らく、入試当日の作戦もイメージできると思います。
最初は時間が足りなかった息子も、過去問演習を続けた結果、出題傾向に慣れ、時間配分や解く順などを判断して、徐々に得点を上げていきました。自分の力を最大限合格に近づけられる解き方ができるようになった、ということです。
②過去問は、入試本番と同じ条件で挑戦する
過去問はできるだけ、本番と同じ条件で解いてみましょう。各教科の時間はもちろん、順序や休憩を挟むなど入試当日と同じように設定すると、よくイメージができます。
公立入試は一日に5教科あるため、集中力を切らさずに試験に挑むのはとてもハード。入試本番の昼休憩後は眠くなってしまう生徒がいるという話を先生から聞きました。模試受験も入試の疑似体験になりますが、過去問演習も同様、長丁場になる入試のリハーサルをするチャンスなのです。
なんとなく過去問を解いてしまうのはもったいない。できるだけ入試と同じ条件で取り組んでみましょう。時間がある日は、本番さながらに休憩や昼食を入れてみるのもいいでしょう。私立高校の場合、入試の教科の順番が学校によって異なります。過去問は、入試の際の順序を確認して、必ずその順番で挑戦するようにしましょう。
この二つを意識してしっかり取り組めば、過去問は完璧な実践的参考書として活用価値が高まるでしょう。さらに、解いたあとに見えてくる得点アップのための具体的な対策が、合格するためには最も大切だということです。
■過去問は本番さながらに挑戦、答案から合格へのポイントを見つける
最後に。過去問は5年分を解き、自己採点を表にして比較しました。やっていくうちに得点が上がったことを実感するためと、各学校が公表している平均点や合格最低点などのデータと比較するためです。
目標やタスクと同様に、点数を可視化することは大切です。模試はデータが返却されるので問題ありませんが、過去問は自己採点のみ。結果を表にして可視化することをおすすめします。
簡単な表で構いません。本人の点数がどのくらいのレベルなのか、過去のデータと比べることで一目瞭然、合格の可能性も探ることができます。
ワンポイントアドバイス
過去問は、最も有効な実践的参考書。
塚松美穂
ライター・教育アドバイザー
学習支援コーディネーター