ジャクソンホール会議を受けた当面の米国株見通し

本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が9月1日に配信したレポートを転載したものです。

本記事のポイント

・早期利下げ観測をけん制したパウエル議長

・先物市場は米政策金利の高止まりを織り込む

・逆境に強い米国高配当株への注目高まる早期利下げ

早期利下げ観測をけん制したパウエル議長

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、8月26日の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」での講演のなかで、「インフレ抑制が完了するまで金融引き締めを継続しなければならない」と述べ、高水準の政策金利を長期にわたって維持する方針を示唆しました。

 

市場では高まる景気後退懸念を背景にFRBが2023年にも利下げに転換する可能性を織り込みつつあっただけに、早期利下げ観測をけん制したパウエル議長のタカ派発言は足元の米国株の下押し要因となっています(図表1)。

 

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[図表1]米国株と米長短金利の推移(出所)ブルームバーグ
(期間)2021年12月1日~2022年8月30日

先物市場は米政策金利の高止まりを織り込む

一方、米国債券市場のジャクソンホール会議への反応はやや冷静であり、すでに過去数週間のFRB高官発言などにより金利見通しの修正がなされてきたことから、米10年国債利回りの上昇は限定的に留まっています。

 

8月30日時点の金利先物市場では、米政策金利が2024年にかけてFRBが想定する中立水準(2.5%)を上回る3%台で推移する可能性が織り込まれています(図表2)。

 

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[図表2]先物市場が織り込む米政策金利の見通し(出所)ブルームバーグ
(期間)2021年1月1日~2022年8月30日
(注)FF金利先物は2022年9月限~2024年12月限

逆境に強い米国高配当株への注目高まる

ジャクソンホール会議後の米国株の焦点は、米国の景気後退の可能性と企業業績の行方に集まりそうです。米国の金融引き締めが長期化するシナリオが現実味を帯びるなかでは、足元で景気後退懸念が米国企業の業績見通しの下方修正に波及しつつある点に留意が必要です。

 

米国株の2022年の1株当たり利益(EPS)成長率の市場予想は、足元の第2四半期の決算発表シーズンを経て前年比+8.1%まで下方修正されています(図表3)。

 

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[図表3]米国株の1株当たり利益(EPS)予想の推移(出所)ファクトセット
(期間)2022年1月3日~2022年8月30日
(注)米国株はS&P500指数。予想は市場コンセンサス

 

このように業績見通しの不透明感が増すなかでは、市場の注目は将来の業績成長期待よりも、実現性の高い株主還元に向かいやすいと考えられます。特に2022年4-6月期には米国企業の自社株買いが一巡する一方、配当総額は高水準が維持されるなど、株主還元のなかでも配当への見直しの動きが広がる兆しがみられます(図表4)。

 

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[図表4]米国企業の配当・自社株買い実施額の推移(出所)ファクトセット
(期間)2000年1-3月~2022年4-6月
(注)集計対象は2022年6月末時点のS&P500指数採用銘柄

 

米国高配当株は年初来のパフォーマンスの面でも相対的な優位性を維持しており、金融引き締めという逆境に抵抗力を発揮する投資対象として注目されそうです(図表5)。

 

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[図表5]2022年初来の米国株のトータルリターンの推移
(出所)ブルームバーグ
(期間)2022年1月3日~8月30日
(注)S&P高配当貴族指数は、S&Pコンポジット1500指数の構成銘柄のうち、過去20年以上連続して増配する経営方針を採る企業のパフォーマンスを示す指数(構成銘柄は配当利回りに応じて加重平均)S&P500自社買い指数はS&P500指数の構成銘柄のうち、自社株買いに積極的な100銘柄のパフォーマンス

 

 

和泉 祐一

フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社

シニア リサーチアナリスト

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    フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社 シニア リサーチ アナリスト

    日本証券アナリスト協会認定アナリスト
    日系運用会社に入社後、日系大手証券会社、シンクタンクなどを経て、約20年超にわたり一貫して海外経済および不動産市場の調査・研究業務(エコノミスト、ストラテジスト、研究員)に従事。2013年にレッグ・メイソン・アセット・マネジメント(現フランクリン・テンプルトン・ジャパン)に入社。米国や豪州、ブラジルなどをはじめ世界の投資環境に関する情報提供を担う。

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    連載【フランクリン・テンプルトン・ジャパン】グローバルマーケット情報

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