更に厳しい現実…「日本の小中高生」が考えていること
もっと厳しい現実がある。米国・中国・韓国・日本の小・中・高生の学習意欲調査、生活と意識調査、将来への意欲などに関するアンケート結果である。
小学生に「勉強は将来の生活に役に立つか」の質問に対して、他の国々は「非常にそう思う」が多いのに、日本はその1/3~1/4ほどである。「学校が楽しければ、成績にこだわらない」、「のんびり暮らしたいか」の質問では他国の2~3倍多い。
中学生に「親を尊敬しているか」に対して、他国の1/2~1/10と少なく、親は自分の成績に関心をもっているかでは、同じく1/3~1/5となっている。
高校生に「将来、社会で活躍したいか」には他国の1/3~1/4、「のんびりと暮らしたいか」は逆に2~3倍となっている。いずれの質問に対しても日本の小・中・高生は物心両面で欲がなく、後ろ向きな回答が圧倒的に多くを占めている。
なぜ日本の学生は「大学入学後」勉強をしないのか?
日米大学生の学習時間を比較したところ、米国の大学では1週間に6時間以上の学習時間が80%以上を占めているのに対して、日本では32%以下である。全く勉強していない0時間が1割を占めるのも驚きである。我が国では大学入学が目的化し、大学で学業を修めるという本来の目標が喪失してしまっている。
なぜ日本の学生は大学入学しても勉強をしないのであろうか? これは学生に問題があることは論を俟たないが、就職に際して学業成績に関心を示さない企業側にも大いに責任がある。
まず、採用基準は協調性に始まり、アルバイトやクラブ活動でのリーダーシップ経験などが優先され、肝心の成績は重視されていない。
筆者の研究室の学生が就職する際、その学生の研究や学業について、指導教授にヒアリングに来た企業は20年間で1社もない。また企業のトップを招いて大学で特別講演を依頼する際、「『学業成績は関係ない、要はやる気と体力だ』、との言葉だけは控えてください」と、お願いしている。
なぜなら、学生が「社会に出てからは、大学での勉強は関係ない」と誤解してしまうからだ。一方、ハーバード大学の学生といえども、成績が「中の下」以下だったら、グローバル企業は見向きもしない。