(※写真はイメージです/PIXTA)

20歳以上60歳未満の国民には、毎月、国民年金保険料を納めることが義務付けられています。経済的な問題から納付が難しい人は、免除や納付猶予を受けることが可能です。本稿ではその猶予制度の一つであり、多くの人々が利用する「学生納付特例制度」について見ていきましょう。本制度にはどんなメリットやデメリットがあるのかを改めて確認しつつ、そのデメリットを解消する方法を解説します。

学生の6割が使っている「学生納付特例制度」とは?

日本では、20歳以上60歳未満の人は国民年金保険料を納めなくてはいけません。大学生や大学院生などの就職していない身分であったとしても、通常、毎月一定の国民年金保険料(2022年度は月額1万6,590円)を支払う必要があります。

 

2022年の国民年金保険料は、月額1万6,590円です。

 

ただし、経済状況等によっては納付が難しい場合もあるでしょう。国民年金保険料の支払いにあたってはいくつかの免除・猶予制度が設けられています。その一つが、本稿で解説する「学生納付特例制度」です。

 

学生納付特例制度とは、20歳以上の学生において、一定の所得基準を下回る場合、在学期間中の保険料の納付を猶予する制度です。

 

厚生労働省の『令和2年国民年金被保険者実態調査結果』によると、学生納付特例制度について知っていると答えた学生は、学生総数で約83.3%。また、実際に本特例制度を使用している学生は63.9%にのぼります。

 

たとえアルバイトをしている学生でも、月1.6万円の支出は決して小さくありません。2022年の国民年金保険料は月額1万6,590円ですから、1年間で合計19万9,080円を納めることになるのです。申請するだけで当面支払わなくて済むのなら、ありがたいと思う人は多いでしょう。

 

また、学生納付特例を利用していれば、学生時代に事故や病気、けがなどで障害を負った場合、保険料未納でも障害基礎年金を受給できるなどのメリットもあります。

 

前述の厚労省調査によると、納付義務のある学生のうち、滞納者*は9.0%です(*滞納者とは、過去2年間において納付対象月の保険料をひと月も納付していない者を指します。ただし学生納付特例者やそのほかの免除・猶予を受けている人は含みません)。

 

同じ未納付状態とはいえ、学生納付特例を申請しているか否かによって万一の場合に大きな差が生じることも、知っておいたほうがよいでしょう。

 

ただし、メリットばかりではありません。学生納付特例制度に限った話ではありませんが、国民年金保険料の未納期間がある場合*、将来の年金受給額が減ってしまうのです(*全額免除*の場合を除く。「免除」には、全額免除、4分の3、半額、4分の1の4タイプがあります)。

 

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