Q4. 緑内障によいサプリメントはありますか?
⇒A. 「これ!」というものはありませんが、治療のサポートになるものはあります。
【エビデンスレベル:B~C&D】
「緑内障にこれは効く!」と強くいえるほどのサプリメントはありません。現状「作用があるのでは?」といわれているのが、国内ではサンテグラジェノックス®、カシス-i®というサプリメントです(図表5)。
国外で販売されているサプリメントもいくつかありますが、国内のものを超えるほどの作用はないので積極的にはおすすめしていません。安全面と品質が不安定であることもその理由です。
では、具体的にどういう作用があるのでしょうか? 研究では、カシスは「視野欠損の進行を抑え、眼圧を下げる作用*4,5(⇒エビデンスレベルB)」が確認されています。またサンテグラジェノックス®の主成分である松樹皮エキスとビルベリーエキスは「眼圧を2~3mmHg下げ、血流改善の作用もあった*6,7,8,9(⇒エビデンスレベルD)」と報告されています。ただし、対象者の約半数の人にのみ認められた作用で、しかも少数例のデータのため参考程度にとどめたほうがよさそうです。
サプリメントの作用をまとめると「視神経の保護作用があり、視野障害をある程度止める可能性があること」「眼圧の下降作用もわずかながら期待できる」ということです。つまり、目薬をはじめとする通常の治療をやめるほどのものではありません。サプリメントの摂取は、普段からビタミンやタンパク質などがふくまれたバランスのよい食事をしっかりとしたうえで余力があればとり入れるという位置づけです。あくまで治療後のサポートとして考えてください。
また、サプリメントの作用に関する研究についてはYouTube動画でくわしく解説しているので、興味のある方はご覧ください。ここまで、緑内障と食事・栄養の関係について見てきましたが、健康診断などで異常があると体重や食事の注意点について説明を受けることがあります。緑内障ではどうなのかについてくわしくお話しできればと思います。
*4 Ohguro H, et al. Effects of black currant anthocyanins on intraocular pressure in healthy volunteers and patients with glaucoma. J Ocul Pharmacol Ther 2013;29(1):61-7. doi: 10.1089/jop.2012.0071. Epub 2012 Oct 9.
*5 Ohguro H, et al. Two-year randomized, placebo-controlled study of black currant anthocyanins on visual field in glaucoma. Ophthalmologica 2012;228(1):26-35. doi: 10.1159/000335961. Epub 2012 Feb 22.
*6 Nakanishi-Ueda T, et al. Inhibitory Effect of Lutein and Pycnogenol on Lipid Peroxidation in Porcine Retinal Homogenate. J Clin Biochem Nutr 2006;38(3):204-10. https://doi.org/10.3164/jcbn.38.204.
*7 Manabe K, et al. Effects of French maritime pine bark/bilberry fruit extracts on intraocular pressure for primary open-angle glaucoma. J Clin Biochem Nutr 2021;68(1):67-72. doi: 10.3164/jcbn.20-50. Epub 2020 Jul 10.
*8 Steigerwalt RD, et al. Effects of Mirtogenol® on ocular blood flow and intraocular hypertension in asymptomatic subjects. Mol Vis 2008;14:1288-92.
*9 Gizzi C, et al. Mirtogenol® supplementation in association with dorzolamide-timolol or latanoprost improves the retinal microcirculation in asymptomatic patients with increased ocular pressure. Eur Rev Med Pharmacol Sci 2017;21(20):4720-5.
平松 類
二本松眼科病院 副院長