本稿を読む前に…
本稿ではQ&Aの根拠となる論文のエビデンス(科学的根拠)レベルをABCに分け、参考程度にとどめていただきたいDもふくめて評価しています(図表1・2参照。簡易的に分けているのであくまで目安とお考えください)。
Q1. 目によいとされるブルーベリーは緑内障にもいい?
⇒A. 緑内障への作用は期待できません。目の疲労が改善する程度です。
【エビデンスレベル:C】
ブルーベリーは目によいといわれています。たしかに、ブルーベリーにふくまれるアントシアニンという成分は老化を防ぐ抗酸化物質の一種です。人間の身体は加齢や紫外線などによってダメージを受けています。これを酸化といいます。抗酸化物質には身体を酸化から守る作用があり、その多くが食べものなどからとり入れられます。しかし、アントシアニンは目にだけ集中するわけではなく、全身を巡ります。したがって結果的に、目にいきわたるアントシアニンは摂取量の一部となってしまうのです。
とはいえ、全身の加齢を防ぐ作用はあるといえます。ブルーベリーを好んで食べる分には問題ありませんが、患者さんの中には無理をしてまで摂取する方がいます。そういった方には「そこまでがんばる必要はありませんよ」とお話ししています。
では、緑内障についてはどうでしょうか? 残念ながらブルーベリーにふくまれるアントシアニンについてはわずかな研究があるものの、今のところ注目すべきものはありません。現在のところ眼精疲労などに対して作用があるかどうかという程度です*1。ブルーベリーが目によいといわれるようになった歴史的な経緯についてはYouTube動画で解説しているので興味のある方はご覧ください。
では、緑内障によい栄養素にはどんなものがあるのでしょうか? これについてお話しできればと思います。
*1 Shim SH, et al. Ginkgo biloba extract and bilberry anthocyanins improve visual function in patients with normal tension glaucoma. J Med Food 2012;15(9):818-23. doi: 10.1089/jmf.2012.2241. Epub 2012 Aug 7.