Q2. 目によいとされるルテインは緑内障にもよい?
⇒A. ルテインは目に集中して届くので、目の健康全般におすすめです。
【エビデンスレベル:A】
「ルテインが目によい」と最近よくいわれます。ルテインとはどんな成分で、なぜ目によいといわれるのでしょうか? ルテインは、前項でお話ししたアントシアニンと同じ抗酸化物質の一種です。体内にとり入れられたアントシアニンの一部しか目に届かないのにし、ルテインは目に集中して届きます。また、ものを見る役割を担う黄斑部や水晶体にもふくまれ、目の老化を防ぐ作用もあります(図表3)。
ルテインを日常的に摂取することは目を守るという意味でも重要です。目にふくまれるルテインは40歳辺りから減ってくるので、とくに40歳以上の人は積極的にとることをおすすめします。
そこで、ルテインがよくふくまれる食べものとしておすすめしたいのがホウレンソウです。1日にホウレンソウ2株程度(ルテイン6~10mg)を目安に摂取するとよいでしょう。最初のうちは毎日この量を摂取し、1ヵ月くらい経った段階で週3回程度に減らしても問題ありません。なぜなら、身体の中のルテインは一度充足すると多少期間をおいても減らないからです。ただし、尿管結石のように体内に石ができやすい人はホウレンソウではなく、サプリメントなどでとることをおすすめします。
一方で、緑内障では「ルテインが視神経の保護に役立っている*2」というにとどまっています。なぜでしょうか? 視神経にダメージが加わると軽い炎症が起きますが、ルテインにはその炎症を抑える作用があるといわれています。ただ視野欠損を抑えるという研究はなく、緑内障への作用は未知数なところがあります。とはいえ、目の病気は緑内障だけではありません。白内障や加齢黄斑変性などさまざまな病気を予防するためにもルテインの摂取はよいことです。
*2 Lem DW, et al. Carotenoids in the Management of Glaucoma: A Systematic Review of the Evidence. Nutrients 2021;13(6):1949. doi: 10.3390/nu13061949.
Q3. 緑内障によいビタミンはありますか?
⇒A. 暗いところでものを見る際に重要になるビタミンAと身体の酸化を防ぐビタミンCをおすすめします。
【エビデンスレベル:A】
ビタミン類は身体に必要な栄養素です。どのビタミンが足りなくなると緑内障によくないのか? それはビタミンAとビタミンCです*3(図表4)。ビタミンAの一種で、目に関係する成分としてはレチノールがあります。これは目から入る光の反応に関係する非常に大切な成分です。とくに暗いところでものを見る際に重要になります。
昔は栄養不足から夜間にものが見えにくくなる人がいました。現在でも偏った食事やダイエットなどによってビタミンAが足りない人がいます。普段からビタミンAを適切に摂取しておくことは緑内障にとってもよいといえます。注意点としては、ビタミンAは脂溶性なのでとりすぎると体外に排出できなくなります。サプリメントで摂取する際はとりすぎに注意してください。
ビタミンAを多くふくむのは、うなぎ・にんじん・ホウレンソウなどです。にんじんは古くから目によい野菜といわれていますし、ホウレンソウにはビタミンAのほかにルテイン(前項)などの目によい栄養素が豊富にふくまれています。油で炒めると栄養素が体内に吸収されやすくなるので、にんじんとホウレンソウの炒めものなどはおすすめです。
一方、ビタミンCには老化を防ぐ抗酸化作用があります。加えて、ビタミンCは水溶性なのでとりすぎても体外へ排出されるため安心です。注意点としては一度に大量にとるのではなく、毎日摂取することが大切です。
ビタミンCがよくふくまれている食品はレモンが有名です。そのほかにくだもの全般やブロッコリー、ホウレンソウなどにもふくまれています。とはいえ、ビタミンCは加熱すると壊れやすい成分なので生のくだものなどを食べるほうがおすすめです。ビタミン類をしっかりととっている患者さんは緑内障も悪化しにくい実感があります。やはりバランスがよい食事は大切です。
*3 Ramdas WD, et al. The Effect of Vitamins on Glaucoma: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients 2018;10(3):359. doi: 10.3390/nu10030359.