(※写真はイメージです/PIXTA)

もし緑内障になっても、治療をすれば失明は99%防ぐことが可能です。ただし緑内障は、ほとんどの人が「自分が緑内障であること」や「視野が欠けていること」を自覚できないという恐ろしさも持ち合わせているため油断してはいけません。眼科専門医・平松類氏の著書『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)より、緑内障のセルフチェックや知っておきたい情報を見ていきましょう。

Q1. 緑内障は治りませんか?

⇒A. 現在は難しいですが、将来的には治ると思います。

まず緑内障の場合、医師と患者さんで治療の意味が異なります。医師が「緑内障の治療をしましょう」というときは、たいてい「悪化しないように食い止めましょう」という意味です。

 

その一方で、医師から治療するといわれた場合に患者さんは「緑内障は治る」と思い込んでしまいがちです。こうした思い違いを防ぐため、医師は「緑内障は治らない」というのです。この点がうまく伝わっておらず、つらく、悲しい思いをしている患者さんがたくさんいます。私自身も悲しいことだと感じています。

 

たとえば、高血圧や糖尿病も治らない病気です。実は、医師はこれらの病気と同じぐらいの気持ちで「緑内障は治らない」と表現しているのです。むしろ高血圧や糖尿病のほうが死に直結するより深刻な合併症をもたらす可能性があります。とはいえ、失明を思い起こさせる緑内障は、そうした表現がときに患者さんを深く傷つけてしまいます。

 

だからこそ、あえていいます。治らないというのは「現在の医療では難しい」ということです。しかし、あなたが生きている間に絶対に治らないわけではありません。

 

では、今後緑内障の治療にどういった方法が出てくるのか? それを先に見たほうが、今後のあなたの治療に弾みがつくというものです。それでは、未来の治療についてお話ししていきましょう。

Q2. 未来の治療法や道具にはどんなものがありますか?

⇒A. iPS細胞やAIなどを活用した治療方法や生活のサポートになる道具が続々と開発されています。

未来の緑内障治療というと視神経自体を再生する医療、とくにiPS細胞(人工多能性幹細胞)をイメージする人が多いかと思います。しかし、現実的にはほかのアプローチの治療方法がたくさん出てきています。

 

たとえば、AI(人工知能)に代表される診断系の技術、治療の個別化。薬の発展によって目薬が必要なくなる、あるいはレーザー治療などの処置で済んでしまう可能性。はたまた眼圧を下げる目的以外にも視神経を強くしたり、血流をよくしたりする薬の開発も行われています。さらに、マイクロステントという特殊な器具を眼球の中に入れて眼圧を下げる手術やレーザー治療、視神経移植や網膜チップなどの再生医療、遺伝子治療などのさらなる発展も期待できます。

 

生活面でいえば、残っている視野をフル活用して見える範囲を広げるメガネやコンタクトレンズ、自動運転車なども開発されています。ざっと挙げただけでもこれだけの治療方法や道具が開発されています。

 

「そんな未来のことなんて…」という人もいますが、私自身は緑内障治療の未来に希望をもっています。あなたにも未来に少しでも希望をもっていただけたら嬉しいです。この本の目的は治療が発展するまで、緑内障の進行を食い止めておくことです。さらに、緑内障のメカニズムについてくわしくお話ししていきます。

次ページ緑内障の「視野欠損」をセルフチェック

※本連載は、平松類氏の著書『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識

自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識

平松 類

ライフサイエンス出版

「緑内障は失明する病気」「緑内障になったら自分でできることは目薬だけしかない」なんて思っていませんか? 実は緑内障は早期発見できちんと治療をすれば「99%失明を防げる」ことがわかっています。さらに、食事・栄養・睡…

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