Q3. 「見えているから大丈夫」ではないのですか?
⇒A. 決して放置しないでください。視力と視野では意味が異なります。
医師から緑内障と診断されたけど、視力は問題ないし、自覚症状もない。そんな声をよく聞きます。緑内障は視野が欠ける病気です。視野とは目を動かさないでまっすぐ見たときに見える範囲をいいます。視野が正常な場合は耳側約100度、鼻側約60度、上方約60度、下方約75度が見えます(図表1)。
一方、視力はものを識別する能力をいいます。視力は中心部で高く、周辺部になるほど低くなります。
緑内障は多少視野が欠けていても自覚症状がまったくない病気です。初期はおろか視野が半分程度欠けた中期でも見えづらさや違和感を覚えないことがほとんどです。視野が大きく欠ける後期になって視力が低下します。
ここまで視野と視力の違いについてお話ししましたが、実際に視野欠損をイメージすることは難しいかもしれません。そこで、誰でも視野が欠けている場所である「盲点」を使って実際に視野欠損をイメージしてみましょう。
まず両腕を前方に伸ばし、両手の人差し指を目線の位置に立てます。右目でチェックする場合は左目を閉じ、右目で左人差し指の爪先を見つめてください。そのまま右人差し指をゆっくり右へスライドさせます。すると、20~30cmほど両手の人差し指の間隔があいたところで右の指先が消えるポイントがあると思います(図表2)。これが盲点です。盲点を実感できたでしょうか? 緑内障による視野欠損は、盲点のように一部だけではなくまだらに欠けていくため、実感しにくいのです。そこで、緑内障による視野欠損を簡単にセルフチェックできる方法を紹介していきます。
Q4. 自分でできる視野のチェック方法はありますか?
⇒A. カレンダーを使った視野のセルフチェックをおすすめします。
視野が狭くなっている気がする。不安なので毎日でも視野をチェックしたい。そんなときに役立つカレンダーを使った視野のセルフチェック方法をご紹介します。
まずはカレンダー(図表3)を用意して壁に掛けてください。右目をチェックする場合は、30cm程度離れた場所で左目をつぶり、目線の位置を固定してまっすぐカレンダーの中心を見てください。すると、中心10度の範囲は数字を具体的に認識することができるかと思います。一方、中心から30度では数字は読めないものの、何かが書かれていることはわかることでしょう。その見え方をチェックしてください。
このセルフチェックを行うと、自分の視野が現状でどれだけ狭くなっているのかがわかるようになります。日常生活の中であなたの視野の状態を確認できるので、視野が狭くなった場合でも早めに対策を立てやすいです。また眼科の視野検査では視野欠損を自覚しにくいですが、このセルフチェックをすると、緑内障の進行度を自分で実感することができます。1週間に1度くらいチェックしてみるとよいでしょう。とても簡単なのでおすすめです。
平松 類
二本松眼科病院 副院長