ロシアには「最適な民主システム」が存在しない?
ひろ:国が広すぎると監視の目が行き届かないので、地方の役人などは賄賂など悪いことがやりやすいですよね。だから、中国の習近平主席は「反腐敗闘争」を掲げて、広い国土をうまく治めるシステムを張り巡らせ、都会と地方の差も埋めようとしている。
成毛:やはり、中国共産党はシステムが強いですよね。中央に任命権があるので、地方で権力を持っている連中は中央の顔色をうかがわなきゃいけない。すると、やはり中央に従うようになる。ロシアは、ソ連崩壊で共産党のシステムがなくなったことが痛かったかもしれません。
ひろ:確かに、国を統治するという意味では共産党のままだったほうがマシだったかもですね。ソ連の頃は政治の中央集権が共産党で、恐怖と暴力がKGB(ソ連国家保安委員会)だった。
でも、ソ連が崩壊して共産党はなくなりましたが、KGBはFSB(ロシア連邦保安庁)という形で残っちゃいました。で、FSBのトップとして恐怖を振りまくことが得意だった人が今は大統領になっている。
成毛:中国共産党はなんだかんだ言って、国内で建国した中国共産党という権威と権力がありますからね。ロシアはそれがなくなってしまった。共産党的な統治形態が向いている国はほかにもありますが、特にロシアと中国はその傾向がかなり強いと思います。
ひろ:まあ、広大な土地と1億人以上の人口がいると、統治するのはムズいっすからね。んで、アメリカも両方の条件に当てはまっていますが、州政府の力が超強くて、それぞれの州が集まってひとつの国になっている「連合国」みたいな感覚なんですよね。
成毛:日本語では「アメリカ合衆国」と書きますが、「ユナイテッド・ステーツ」のステーツは「州」という意味。つまり、本来は「アメリカ合〝州〞国」と書かないといけないし、「州」は中国語では「国」です。だから、アメリカは「連合国」なんですよ。
ひろ:アメリカは連合国だし、ロシアはグダグダになってしまった。そういう意味では、「広大な土地と1億人以上の人口に適した民主的なシステムを人類は持っていない」という結論になるかもしれないですね。
成毛:そうでしょうね。だからソ連崩壊の際に、ロシアは緩い中国共産党体制のような形に変質したほうがよかったのかもしれません。実際にゴルバチョフがソ連を解体したとき、「解体されるほうが困る」と言ってた連中がいたみたいです。