国が幸せになるには必ずしも「民主化一択」ではない
ひろ:まあ、民主化すればすべてうまくいくってわけじゃないっすからね。
成毛:そのとおり、世界を見渡すと民主化して幸せになった国ばかりではないです。例えば、「アラブの春」で民主化した中東の国には、悲惨な状況になっているところもあります。アフリカの一部でも独裁政権のほうが国民は楽だったというケースも多いでしょうしね。
ひろ:そうっすね。
成毛:アフリカで起きている内戦は「民主化しなかったから起きた」ものだけではないんです。西欧の国が勝手に国境をつくって、違う民族が土地や資源をめぐって戦っているものも多い。
クルド人問題もそうで、本来クルド人たちが住んでいた地域がイランやイラク、シリア、トルコに分割されてしまった。理想は民族ごとに分かれて、そのなかで「独裁をしたいならすれば?」というほうが、幸せな地域や人が増えるんじゃないですか。
ひろ:アフリカや中東は独裁国家も多いですからね。んで、国民のひとり当たりのGDP(国内総生産)が一定額を超えていないと、民主化してもあんまりいいシステムにならないような気がするんです。
今の先進国のシステムで稼いでいる国民が過半数という状況になってから民主化しないと、むしろ貧しくなっちゃう国もあるんじゃないかと。それまでは独裁でやっていったほうがうまくいくパターンは多そう。
成毛:そんな気はしますね。そもそも、今の韓国も朴正煕大統領率いる軍事独裁政権が開発独裁をしてGNPを伸ばしてから民主化したという経緯だし。
ロシアに待ち受けている「悲惨な未来」
ひろ:ロシアって国民のひとり当たりのGDPは110万円くらいなんですよ。なので、日々暮らすだけで精いっぱいという人も多いはず。すると「どうやって西側諸国と貿易をしながら稼ぐか」とか、考える余裕のある人は少ないと思います。
だから、中央が独裁的に政治をやって、たまにお金をばらまいて「生活が安定してよかったね」という発展途上国型のよくあるパターンがよさそうな気がします。
成毛:確かに。
ひろ:ロシアの土地がもっと豊かだったら「今日頑張れば、明日はもっと良くなる」と思えるのですが、ロシアの土地は頑張っても報われないのが当たり前という環境ですからね。んで、多くの人がそのなかで育っている。
成毛:そうですね。
ひろ:ロシア人が良い悪いとかではなく、やっぱり環境とか民族とかの問題で、同じことを繰り返す気はします。
成毛:まとめるとロシアはウクライナに勝とうが負けようが、経済はズタズタになり、今の韓国並みのGDPが、エジプト並みの水準までいきなり下がってしまうと。
ひろ:経済的には相当キツいっすよね。
成毛:つまり、「巨大な北朝鮮」が出来上がってしまうんじゃないかと思います。そして、そのなかでクーデターや革命、内戦が起きたとしても、歴史的に見るとまたとんでもない指導者が出てくる可能性が高いということですね。
ひろ:ってことで、ロシアは今後、大変な状況になることは間違いなさそうっすね。
成毛 眞
書評サイト「HONZ」
代表
ひろゆき
実業家/インフルエンサー
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