※画像はイメージです/PIXTA

現在の法律では、同性カップルはパートナーの財産を相続することはできません。現在ではパートナーシップ制度を導入している自治体も増えていますが、国が法律で認める結婚とは異なるため、パートナーは法定相続人とはなれず、パートナーシップ制度を利用していてもパートナーの財産は相続できません。そのため、いざ相続が発生すると、財産をだれに、どのように相続するかで親族とトラブルになることも。親族と争続にならないための対策についてみていきます。

相続対策以外にも…元気なうちにしておきたいこと

相続対策をする以外にも、万が一のためにあらかじめ取っておきたい手続きはあります。たとえば「認知症になったとき」や「死後の手続きが必要になったとき」などに、親族でなくパートナーに動いてもらいたい方は多いでしょう。

 

お互いが元気なうちにできる手続きをしておくことで、より将来に安心が持てます。

 

任意後見契約

任意後見契約とは、認知症などで判断能力が低下したときに自分の後見人になってもらうための契約です。カップルでお互いを後見人として設定することも可能。任意後見契約で認められるのは財産管理や、生活にかかる契約や手続きの代行などです。

 

とくに介護保険に関する手続きや介護認定などの手続きは、一般的に親族がいるなら親族の手続きを求められることが多数。しかし任意後見契約を結んでおけば、任意のパートナーに自分の一切を任せられるのです。

 

また、パートナーシップ制度を利用する際に任意後見契約をしていることが条件となる自治体も。任意後見契約は遺言書と同様、公証役場で作成できます。

 

死後事務委任契約

不慮の事故などで万が一亡くなってしまうことがあっても、死後事務委任契約を結んでおけばパートナーに死後の手続きを任せられます。たとえば、葬儀の手続きや遺品整理など。

 

遺言書ではあくまで財産に関することしか記載できません。一方、死後事務委任契約は遺産の相続以外に関して自由に取り決めておけるのが特徴です。どのようなお葬式にしたいか、パートナーにどうしてほしいか、といった希望を書き記せます。

 

死後事務委任契約もまた、公証役場で作成が可能です。また、公正証書の作成代行を請け負っている法人もありますので、活用を考えてみてはいかがでしょうか。

 

財産管理・療養看護についての委任契約

事故や病気、ケガで寝たきり状態になってしまったときのために、財産管理や療養看護についての委任契約を結んでおくのもよいでしょう。一般的に介護や看護を行い、身の回りの管理をするのは親族にあたる方です。

 

しかしパートナーに委任契約を結んでおけば、親族でなくパートナーに財産管理や看護をお願いできます。こうした委任契約を1回結んでおけば、入退院や介護施設への申し込みなどことあるごとに委任状を書く必要もありません。

制度の活用方法を考える必要がある

同性のパートナーは、現在のところ法定相続人として認められていません。しかし、それを補うための制度にはさまざまなものがあります。自分が寝たきりになったときや認知症になったとき、ひいては亡くなったときに一番そばにいてほしいのはパートナーでしょう。

 

親族と同等の権利をパートナーに与えるためにも、元気なうちかできる対策することをおすすめします。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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