※画像はイメージです/PIXTA

現在の法律では、同性カップルはパートナーの財産を相続することはできません。現在ではパートナーシップ制度を導入している自治体も増えていますが、国が法律で認める結婚とは異なるため、パートナーは法定相続人とはなれず、パートナーシップ制度を利用していてもパートナーの財産は相続できません。そのため、いざ相続が発生すると、財産をだれに、どのように相続するかで親族とトラブルになることも。親族と争続にならないための対策についてみていきます。

同性パートナーを死亡保険金の受取人とする生命保険を契約する

生命保険会社の中には、同性パートナーを死亡保険金の受取人として設定できるところもあります。こうした保険会社で生命保険を契約しておけば、万が一のときにパートナーにお金を渡せるのです。

 

また、すでに生命保険を契約していて受取人をパートナーへ変更したい場合は、2010年4月以降の契約に限り以下の方法で変更できます。

 

●生命保険会社へ直接意思表示(内容証明郵便の送達など)

●遺言で意思表示

 

上記の方法による受取人の変更は、保険法第43・44条において定められています。

 

【注意点】相続人ではないパートナーが受取人だと、税制上の優遇は受けられない

 

同性パートナーが生命保険金の受取人となる場合、税制上の優遇制度が利用できません。たとえば一般的に法定相続人が死亡保険金を受け取るときは、「500万円×法定相続人の人数」の金額が非課税となります。

 

しかし、同性パートナーにはこの非課税控除を適用できません。つまり保険金全額が相続税の課税対象としてみなされます。さらに相続税は支払う人が一定の親族ではない場合、2割増しで納税しなければなりません。

 

また、受取人が親族でなければ、生前の所得税の生命保険料控除といった優遇も適用できないのです。

 

同性カップルでペアローンを組める銀行も存在

 

ちなみに、同性カップルで家を購入してお互いの財産とする場合、ペアローンを組める銀行もあります。ペアローンとは、2人がそれぞれ持分を決めて契約者となり、お互いの連帯保証人となる契約です。近年では同性カップルでペアローンを組める銀行も増えています。

 

また、ペアローンだけでなく連帯債務型借入も同様。連帯債務型借入とは、1つの契約で2人がそれぞれの持分を決める契約形式です。ペアローンとは異なり、2人同時に住宅ローン控除を適用できるのがポイント。住宅を売却したときの控除も、2人がそれぞれ受けられます。

 

信託契約を結ぶ

信託契約とは、契約者が信託銀行などに対して財産を預けて運用管理を任せ、最終的に利益を得る契約です。

 

信託契約には、以下の2種類があります。

 

●商事信託

●民事信託

 

商事信託は信託会社や銀行に財産を預け、運用管理を任せるというものです。一方、民事信託は家族や親族など身の回りの人に財産を預けて、運用管理を任せる契約を指します。

 

信託した財産や利益を得る人は、本人でもパートナーでも構いません。ただし、パートナーを受益者とした場合、信託の設定時に贈与税が課税される場合があるので注意しましょう。

 

また、信託期間中には受益者に所得税などの諸税が発生します。

 

信託契約を結ぶ際の注意

 

信託契約を結ぶ際は、場合にもよりますが数十万円の初期費用がかかります。また親族に無断で財産を信託契約でパートナーに渡してしまうと、親族から反感を買う場合も。後のトラブルを避けるためにも、親族へあらかじめ了解を取っておいた方がよい場合もあるでしょう。

 

死因贈与契約を結ぶ

死因贈与契約とは、亡くなったことを条件に贈与を約束する契約です。死因贈与契約は遺言書と異なり、贈与する方とされる方の双方の意志があって成立するのが特徴。贈与される人は必ずしも親族である必要がないため、同性パートナーにも遺産を残せます。

 

死因贈与契約において贈与された遺産も、相続税の対象です。なお、契約は書面で取り交わしても口約束でも問題ないとされています。

 

【注意点】口約束だけだとトラブルのもとに、税金面でもデメリットあり

 

死因贈与契約は口約束でも結べますが、「言った言わない」のトラブルの原因になるためおすすめしません。また、親族に契約を証明するためにも書面で確実に残しておく方が良いでしょう。

 

なお、死因贈与契約による遺産の贈与は、遺言書にもとづく相続に比べて負担する税金が高くなるというデメリットもあります。たとえば遺言書による相続に不動産取得税はかかりませんが、死因贈与税の場合は不動産価格の3~4%が不動産取得税としてかかります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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