(※写真はイメージです/PIXTA)

覚えた知識をそのままの形でしか使えないのだとしたら、人間の記憶の価値というものはそれほど高くないかもしれません。しかし、記憶した知識を組み合わせて新しい価値のあるものを生み出せるところに、人間の記憶の価値があります。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ

次の品物の中のどれか2つを組み合わせて、新しい製品のアイデアを出せますか?


はさみ
ヘッドフォン
歯ブラシ
マスク
懐中電灯
フライパン
スプレー
ノート
磁石
タイマー
自転車
ポット

 

ここまでお伝えしてきたことで、私がイメージを使った記憶トレーニングを続けてきた中で、記憶能力はもちろん、そのほかにもさまざまな能力が向上してきたことは、皆さんにもご理解いただけたのではないかと思います。その中で、私自身が何よりも一番効果を実感し、今につながる要因になってくれた能力があります。それは「閃(ひらめ)き」の能力です。言い換えると、アイデア創出力でしょうか。頭の上で電球がピカっと光る、あのイメージです。

 

私は現在、本の執筆や能力開発を目的とした講座および教材といったコンテンツを開発することを主な仕事としています。どんな仕事でも要求される能力だとは思いますが、私の場合は、特に新しいものを創り出す、いわば創造力が要求される場面が多いのではないかと思います。

 

本音をいわせていただくと、もし、記憶競技というものに出会わなかったら、そして、記憶のトレーニングをしてこなければ、多分こうはならなかっただろうと実感しています。しかし、記憶能力を向上させるための研究をしていく中で、脳のメカニズムを知った今では、その理由もよくわかります。

 

ここで、アイデアというものがどのように生まれるのか考えてみましょう。

 

まず、アイデアは、果たして頭の中に何の情報や知識といった「種」がない状態で生まれるものでしょうか。皆さんも、まったくのゼロの状態から何かが生まれるとは考えにくいと思うのではないでしょうか。まさにそのとおりで、閃きやアイデアというものは、ゼロから生まれるものではありません。

 

アイデアの創出に関しては、昔から現在に至るまでさまざまな考え方が発信されてきました。しかし、すべてにおいてアイデアの本質は共通しています。「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということです。

 

この言葉は、初版1940年という、今から何十年も前にジェームス・W・ヤングによって書かれた『アイデアのつくり方』という本の中に書かれている一節ですが、何十年もたった今でもアイデア創出のメカニズムの普遍性は揺るぎません。

 

次ページ知識量が増えるほどアイデアが湧き出る

本連載は池田義博氏の著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

池田 義博

日本能率協会マネジメントセンター

在宅勤務など個人単位で働く機会が増え、従来よりも個人の成果に焦点があてられ、成果物の質を決める「思考力」が要求されています。まずは頭の中の知識・情報の量を増やし、これらを有機的に結び付け、価値のあるアイデアを生…

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