複数の指標からみえる「圧倒的な国力低下」
長期的な国力の低下はさまざまな指標からもうかがえます。たとえば、国際経営開発研究所(IMD)が公表している国際競争力によると、かつて1位だった日本はここ数年で下落の一途をたどり、現在34位となっています。
また、経済協力開発機構(OECD)が公表している教育総合ランキングは、同機構加盟国41ヵ国中14位と、前回調査(2019年5月)の7位から順位を大きく落としています。こちらもかつては上位に位置していた指標です。
世界経済フォーラム(WEF)が公表している各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数にいたっては156ヵ国中120位と、先進国中で最低レベルです。
もとより、こうした指標は、数値やランキングで単純に推し量ることはできません。
しかし、さまざまな視点からその国の現状を量る各種指標が一貫して低下している事実をみると、アベノミクス政策によって大規模な金融緩和と大幅な財政出動をおこない、さらには日銀によるETF購入という禁じ手まで使って株価を押し上げ景気を底上げしたことは、国力を高めることと必ずしも結びついていないことの証左に映ります。
それにもかかわらず、金融政策決定会合で「金融緩和の継続は、企業による持続的な賃上げを後押しするために有効である」(6月開催)などとして大規模な金融緩和政策を継続し続ける日銀の姿勢に、筆者は違和感を覚えます。
少なくとも賃金についていえば、国や企業の国際競争力が高まらずして(より直接的には、賃金の原資となる企業の付加価値生産性が高まらずして)、「持続的」に引き上げ続けることは難しく、金融緩和によってなし得るものではないことがもはや明らかではないでしょうか。
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