(※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで「認知症患者のご近所トラブル」について解説しています。

銀行で行員が憤慨…認知症の「ご近所トラブル」

認知症高齢者が身近にいない一般社会で生活している方は、高齢者の認知症状によるトラブルにあっても、認知症が原因だとはなかなか気がつかないものです。

 

先日、私が銀行に行った際に目撃したトラブルです。高齢者の男性が通帳を失くしたようで、カウンターで中年の男性行員が対応していました。聞こえてくる内容では、どうも失くしたのはこれが初めてではないようです。

 

行員さんは憤慨して、「何度も失くされると困るんです」「しょっちゅう新しい通帳をお出しすることはできません」「これからはうちではなく、ほかの銀行と取引をしてもらうようになるかもしれません」と、次第にイライラしている様子です。

 

高齢者の方の声は聞こえませんが、ほかの銀行はどこにあるのか、と聞いているようです。行員は、「知りません、別のところを探して下さい」と言っています。

 

私は、きっと認知症で通帳を何度も失くしてしまうのだろう、と推測し、さらに金銭の管理もできなくなっているだろうから、家族に連絡して何とかしてもらったほうがいいかな、と思いました。

 

そこで、私が別のカウンターに呼ばれた際に、「あちらの方はたぶん認知症なので、地域包括支援センターに連絡してみて下さい」と小声でアドバイスしました。早速その通りにされたようで、後日、私がその銀行を訪れた際に、行員の方にお礼を言われました。

 

高齢化社会と言われて久しいわが国では、一人で生活している高齢者はかなりの人数に上ります。これらの人々は、自分で買い物やいろいろな支払い、病院通いや趣味の活動、人付き合いなどをされていると思われます。

 

長年特に問題なく過ごしてきたのでしょうが、もし認知症が進んできたら、独力で日常生活を送ることが困難になり、家族の見守りや世話、または介護のサービスが必要になってきます。

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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