税務調査で「追徴課税6億円」の事件も…税務署が目を光らせる「太陽光発電事業」【税理士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

近頃、太陽光発電事業者を対象とした大掛かりな税務調査が行われるようになっていることをご存じでしょうか。税務調査を専門とする税理士法人松本が、太陽光発電事業者を対象とした税務調査の例と、税務調査時の注意点などについて解説します。

太陽光発電事業者にも税務調査のメスが!?

ソーラーパネルを設置して太陽光発電を行う太陽光発電事業者が増えています。法人が事業として太陽光発電を行っている場合も、個人事業主として太陽光発電を行っている場合も、太陽光発電によって発電した電気を売り、利益を得ている場合には確定申告が必要です。

 

しかし、太陽光発電事業者の中には正しく申告をしていないケースが多くみられるようになってきため、昨今では太陽光発電事業者を対象とした大掛かりな税務調査が行われるようになっています。もし、売電による所得を申告せずに、適正な納税を行っていない場合は所得隠しと捉えられ、追徴課税が行われる可能性もあります。

 

今回は、太陽光発電事業者を対象とした税務調査の例と、税務調査時の注意点などについてご説明します。

太陽光発電事業者を対象とした税務調査の例

2011年の東日本大震災をきっかけに、太陽光発電への注目が高まり、太陽光発電事業者の数が一気に増えました。そのため、太陽光発電事業者を対象とした税務調査も多く行われるようになり、税務調査の結果として所得隠しや申告漏れが発覚した例は少なくありません。太陽光発電事業者の申告漏れ、脱税が発覚した主な例としては、以下のようなものがあります。

 

■個人事業者含む約200社の税務調査で「70億円の申告漏れ」発覚

2018年には、個人事業者も含む約200社の太陽光発電事業者を対象とした税務調査が行われました。税務調査により発覚した申告漏れの額は、なんと約70億円にも上るものでした。申告漏れの多くは、収入の一部を適切に計上せずに売上を低く装って所得を低く見せたり、実際には費用が発生していないにもかかわらず、架空の支払手数料を経費として計上して利益を圧縮したりといった手口が用いられていました。また、この税務調査では約70億円のうち約40億円が意図的な所得隠しとして認定されました。

 

■太陽光発電事業者5社による「30億円の所得隠し」

2020年には太陽光発電事業を行う5社に税務調査が入り、4年間で約30億円もの所得隠しが行われていたことが発覚しました。経費を引いた課税対象額は約19億円であり、約6億円もの追徴課税が課せられました。

 

■その他の太陽光発電事業者の脱税

このほかにも、太陽光発電設備の導入をめぐって架空の外注費を計上し、約1億3,000万円の脱税をしたとして告発された事件や、太陽光発電所の売電権を売却して得た所得を隠して、約1億4,400万円を脱税した疑いで起訴された事件など、太陽光発電をめぐる所得隠しや脱税事件が頻発しています。

 

■税務署が目を光らせている可能性も…

このように、太陽光発電事業者による所得隠しや脱税が後を絶たないことから、太陽光発電事業者は税務署から不正申告や脱税の多い業種であると認識されている可能性があります。太陽光発電事業を行い、利益を得ているようであれば、しっかりと確定申告を行い、正しく納税しなければなりません。

税務調査による追徴課税とは?

先ほどご紹介した30億円もの所得隠しが発覚した2020年の事件では、6億円の追徴課税が課せられました。太陽光発電事業者だけでなく、申告すべき所得の額に誤りがあり、正しい納税が行われていなかったことが税務調査で発覚した場合には追徴課税が課せられます。

 

追徴課税とは、不足している税額分にペナルティとして科せられる延滞税や加算税を加えたものです。

 

延滞税は定められた期限までに納税しなかったことに対するペナルティで、納付期限の翌日から納付された日までの日数を元に計算されるものです。加算税は、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4つに分けられます。

 

脱税があったと税務署に判断された場合には、最も重い重加算税が課せられます。重加算税の税率は過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の税率で課されることになります。

 

このように、税務調査によって正しく申告していなかったことが発覚した場合には、本来の税額に不足している額を納めるだけでなく、さらにペナルティである延滞税や加算税を加えた追徴課税が課せられるのです。追徴課税には、納付期限の猶予はなく、一括ですぐに支払うことが求められます。

太陽光発電事業者に税務調査が入った場合のポイント

太陽光発電事業者に税務調査が入った場合は、主に次の点を指摘されることが多くなっています。

 

■太陽光発電システム導入時の「付随費用」の扱いについて

発電量が10kW以上の能力を持つ太陽光発電システムを導入している場合は、使用目的に関わらず太陽光発電システムは固定資産としてみなされます。また、発電量が10kW以下の住宅用太陽光発電システムを設置している場合は、屋根と一体型の太陽光発電システムは固定資産とみなされ、屋根と一体型ではないシステムは固定資産とはみなされません。

 

固定資産を計上する場合、太陽光発電システムだけでなく、太陽光パネルを設置するために行った整地費用など、太陽光発電システムの取得に付随した費用も資産として計上しなければなりません。太陽光発電システムの耐用年数は17年を適用するのが一般的であるため、太陽光発電システムの取得にかかった費用は17年にわたって、減価償却費として計上していくようになります。そのため、取得時に必要になった整地費用などを経費として処理してしまうと、経費に計上される額が多くなりすぎてしまい、経費を水増しした所得隠しと疑われる可能性があります。

まとめ

太陽光発電事業をめぐる脱税事件や所得漏れの事件が多く発生しており、税務署では積極的に太陽光発電事業者への税務調査を行っています。もしかしたら、税務調査の対象になるかもしれないとご不安になる場合もあるかもしれません。しかし一般的に、脱税の容疑などがかけられていない場合の税務調査は、事前通知が行われます。もし、税務署から税務調査の通知が入った場合は、税務調査に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。
 

 

税理士法人松本

 

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    税務調査特化税理士法人として全国5ヵ所(渋谷、亀戸、新宿、横浜、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。

    国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。

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    (写真は代表税理士・松本崇宏氏)

    【税理士法人松本HP:(https://無申告.jp/)

    著者紹介

    連載税務調査専門税理士法人が解説!税務調査の「こんなケース」の対処法

    ※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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