(※写真はイメージです/PIXTA)

ある日突然、税務署からの着信や電話があったら、それは税務調査の「事前通知」かもしれません。事前通知の連絡が来たときには、どのように対応すればよいのでしょうか? 税務調査を専門とする税理士法人松本が、事前通知の対応方法や税務調査の流れなどについてわかりやすく解説します。

税務調査は「事前通知」から始まる

はじめに、税務調査の事前通知とはどのようなものなのかについて解説します。

 

■税務調査対象となった事業者が、事前に通知を受けること

税務調査には「任意調査」と「強制調査」があります。悪質性が高いと判断され、夜逃げや証拠隠滅などを防ぐ目的で強制的に調査される強制調査の際には事前通知は行われませんが、任意調査では事前に通知を受けてから実地調査へと進みます。

 

ただし、現金取引がメインの飲食店などでは、事前通知なしに実地調査が行われる場合もあります。

 

■「任意調査」はどの事業者にもやって来る

任意調査は、悪質でないと判断される企業や個人事業主であっても調査対象となる可能性があるものです。開業や起業をして3年以上が経過していたり、売上が急激に上がったりした場合には調査の可能性が高まりますが、中には10年以上税務調査がやって来ない場合もあります。

 

■「事前通知」と「調査通知」

税務調査の事前通知は「調査通知」と「事前通知」に分けられ、調査通知の後に事前通知があり、実地調査という流れになっています。

 

調査通知では「実地調査をすること」「調査する税目(消費税、法人税など)」「調査期間」の3つについて通知を受けます。

 

事前通知は調査通知を受けた後に行われるもので、以下の内容についての通知があります。

 

●調査を始める日時および場所

●調査する税目とその目的

●調査する期間(3期分、5期分など)

●調査で確認する帳簿書類

●調査で訪問する調査官の氏名と所属

●事前通知で伝えた以外に確認したい点が出てきた場合は、それも調査対象となること

 

上記に加え、その他必要事項などがあれば通知されます。

 

■税務調査そのものは拒否できないが、日程調整は可能

納税義務者には実地調査に協力する義務があるため、事前通知について拒否や辞退をすることはできません。

 

ただし、病気やケガなどやむを得ない理由がある場合には、日程を変更することも可能です。

 

事前通知は原則として電話による通知となっています。このとき、事前通知の際に即答せず「税理士へ確認して折り返します」と言うこともできます。

 

なお、現金取引がメインの飲食店などで、事前の通知なく調査訪問を受けた場合でも、病気やケガなどやむを得ない理由があると判断されれば、日程変更してもらえる点は同じです。

税務調査の事前通知が来たらどうすればいい?

税務調査の事前通知を受けたら、以下のような準備に入りましょう。

 

■税務調査に強い税理士へ相談する

税務調査の事前通知を受けたその日に実地調査が行われることはなく、数日から1週間など、ある程度の猶予を持って通知されるのが一般的です。

 

そのため、税務調査対応をしてくれる税理士と契約していない場合には、事前通知を受けてから税務調査に強い税理士を探して依頼することも可能です。

 

現在顧問の税理士がいる場合は、税務調査の事前通知が来た旨を報告し、対応の可否について確認しておきましょう。

 

■帳簿書類やデータなど資料の準備

税理士と確認が取れたら、下記の書類や資料の準備を行いましょう。

 

●申告書類

●総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳や買掛帳などの帳簿類

●請求書や領収証などの帳票類

●源泉徴収票など給与に関する書類

 

などについて最低3年、できれば5年分はチェックして揃えるようにしましょう。

 

慌てて揃えようとすると、漏れや抜けが出てしまいます。日頃から5年分はいつでも提示できるよう、見やすく並べてファイリングなどしておくことをおすすめします。

 

準備するべき書類については、契約している税理士へアドバイスを求めてから用意してもよいでしょう。

 

■オフィスや店舗内のチェック

書類や資料、データ以外に、調査で訪問を受ける事務所や店舗内も点検しておきましょう。ストックスペースの在庫や金庫、レジやタイムカード周辺なども確認される可能性があります。

 

支店や工場、倉庫はもちろん、関連会社のオフィスなども調査を受けるかもしれません。

 

営業に関係のない備品や私物など不要なものは極力置かないようにして、帳簿上と現物や現金残高などは一致するようにしておきましょう。

 

■会社概要や事業概要、取引や業務の流れを再確認する

税務調査では、経理に関する質問は税理士や経理責任者が応答することとなりますが、会社概要や事業、人事や業務に関する質問には経営者が応答する必要があります。

 

特にイレギュラーな取引や大幅な値引き、締め支払い日がまちまちな取引先がある場合にはその理由、外注費と人件費の明確な違いなどは、税務調査で指摘を受けやすいポイントです。

 

こうしたポイントについては、いつ聞かれてもしっかりと説明できるようあらためて整理しておくようにしましょう。

 

 

税理士法人松本

 

※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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