(※写真はイメージです/PIXTA)

心不全の治療を継続しながら全人的苦痛を和らげ、QOLを上げるためにさまざまな点から介入していく…今後もますます重要になる「心不全の緩和ケア」について、“心疾患・心臓リハビリ”の専門医・大堀克己医師が解説します。

終末期では、約7割の患者が自ら意思決定できない状態

緩和ケアを考える際、とても重要なのが「アドバンス・ケア・プランニング」です。アドバンス・ケア・プランニングとは、患者を主体に家族や近しい人、医療・ケアチームが、今後の治療や療養についてあらかじめ話し合う自発的なプロセスのことを意味します。

 

そもそも、アドバンス・ケア・プランニングという概念が誕生した背景には、「終末期においては約70%の患者が、自ら意思決定を行うことができない」という現実があります。そのため、「事前に病状の認識を確かめてあらかじめ患者の意思を聞いておけば、患者にとって望ましい医療を提供できるのではないか?」という考えから、アドバンス・ケア・プランニングの考え方が生まれました。

 

アドバンス・ケア・プランニングを行うことで、重篤な疾患や慢性疾患において、患者の価値観や目標、好みなどを医療に反映させることができます。現在では心不全の治療に、このアドバンス・ケア・プランニングを取り入れる医療機関は増え始めており、多くの患者が、心不全の状態が悪くなってしまったときや万が一のときに備えて、あらかじめ自分の考えをまとめておく準備を自主的に行っています。

 

勘違いしてはいけないのは、こうしたアドバンス・ケア・プランニングは、治療を諦めるものではなく、「心不全に負けず長く生き続けるために行う積極的な備え」であるということです。常に前向きに、明るく治療に取り組む、そのための「支え」になるのが、アドバンス・ケア・プランニングです。

 

心不全と診断されたらどんなことを考えておくべきなのか、大切なのは3つの視点です。

心不全になったら考えておくべきこと

(1)病気との付き合い方

心不全を悪くしないためのコツを知れば、上手に付き合いながら生活することができます。もし調子が悪くなったら、できるだけ早くサインに気づき、適切な治療を行うことが大切です。そうすることで、心臓へのダメージをできるだけ抑えることができるはずです。

 

(2)心不全が悪くなったときのために

確かに医療は進化し、治療方法にもたくさんの選択肢があります。しかしなかには体に大きな負担が掛かる治療や、経済的に重荷になる治療もあります。また、治療方法によっては、これまでできたことができなくなるなど、ライフスタイルが制限されることもあります。

 

症状が重くなってから医師の説明を受けるのではなく、日頃から医師に、病気のことや治療方法について、しっかり確認しておくことが大切です。治療方法について聞くときは、その治療を行ったときの効果や身体的・経済的負担についても確認し、家族と話し合っておくとよいと思います。

 

(3)治療の目的を考える

生きるうえで、いちばん大事にしていることは人それぞれです。これから病気とともに、どのように生きていきたいのか、仕事や趣味、ライフスタイルなど、具体的なイメージを医師や関係者に伝え、一緒に治療の目的を考えていくことが大切です。

 

「家族との時間がいちばん大切だから家で過ごす時間を長くしたい」という人もいれば、「調子が悪いときは病院にいると安心できる」という人もいます。また、「痛みや苦しみはできるだけ避けたい」という人もいれば、「孫の成長を見るために、治療はできるだけ頑張りたい」という人もいると思います。

 

日頃からそうした気持ちを医師や関係者へ伝えておくことは、治療の選択肢を絞り込むのに役立ちます。また、いざというときに自分の気持ちを代弁してくれる人を見つけ、普段から気持ちを伝えておくのもよいです。

 

 

大堀 克己

社会医療法人北海道循環器病院 理事長

 

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    ※本記事は、大堀克己氏の著書『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎MC)を抜粋・再編集したものです。

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