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「路線価」=前面道路に付けられた価格
路線価には「固定資産税路線価」と「相続税路線価」の2種類ありますが、今回はタワーマンション(タワマン)節税に関りの深い相続税路線価に絞って説明します。
相続税路線価(以下、路線価)は、全国各地の公道や不特定多数の人や車が行来する私道に付けられた価格で、これが相続税の課税基準となっています。
街中ばかりでなく田畑や山林沿いの道路にも付いており、全国各地の路線価は国税庁のインターネットサイト「路線価図・評価倍率表」で調べることができます。
ただし、不動産取引事例が極端に少ない過疎地域では路線価が付いていないところ(倍率地域)もあり、そういった地域は市区町村毎に設定された「評価倍率表」をもとに路線価相当額を導き出すことになります。
相続税の課税基準は、路線価をもとに算出された「土地評価額」になります。土地評価額は、対象の土地が接面する道路の路線価に土地面積を乗じて計算します。たとえば、1m2あたりの路線価が50万円の道路に面した100m2の土地の場合は以下のようになります。
50万円 × 100m2 = 土地評価額5,000万円
ちなみに路線価はm2単位で表記され、下三桁の数字表記は割愛されています。坪単位と勘違いしたり、桁数を間違えないように気を付けましょう。
路線価決定の要は「地価公示価格」
路線価は毎年1月1日を評価基点として決定、7月1日に発表されます。路線価決定の基準となるのは国土交通省が発表する「地価公示価格」です。
地価公示価格も毎年1月1日が評価基点で、過去1年間の土地取引状況等をもとに不動産鑑定士が評価・決定します。地価公示価格は路線価より少し早めの3月中に発表されるので、路線価はそれを受けて地価公示価格の80%を目安に決定されます。
タワマン節税の旨味は「一般市場との価格乖離」にあり
では、ここから本題に入ります。相続税の課税基準となる土地評価額は路線価をもとに算出されることは前述の通りです。次に考えなければいけないのは「建物評価額」です。
相続税の課税基準となる建物評価額は、木造や鉄筋コンクリート造等の構造毎に築年数による減価償却率で算出されます。一般不動産市場のように「眺望が拓ける高層階」や「ホテルライクな共用設備」といった生活快適性は加味されず、1階も最上階も一緒くたんに評価されます。
一般市場において、タワマン高層階住戸の売買価格は高額になります。
その理由は、豊かな眺望や設備仕様のグレード感といった不動産の個別特性に所以するものです。そこに相続税評価基準となる土地・建物評価額との「価格乖離」が生まれます。
たとえば、タワマン1階住戸の市場価格が1億円で、これと同じ間取りの最上階住戸が3億円だったとします。価格に大きな開きがあるものの、路線価をもとに算出された土地評価額は2戸とも同額です。
なぜなら、同じ間取りのため土地持ち分面積が同じだからです。仮に土地評価額が1,000万円だったとすると、1階住戸の建物価格は1億円から差し引き9,000万円、最上階住戸は3億円から差し引き2億9,000万円と考えがちですが、建物評価額は減価償却率で算出されますからこちらも2戸同額となります。
仮に建物評価額を3,000万円とすると、1階住戸は6,000万円、最上階住戸はなんと2億6,000万円が宙に浮く=非課税になります。このような土地・建物の価格乖離こそがタワマン節税の“旨味”なのです。