「俺の診断が信用できないのか?」医師が自閉スペクトラム症の子に怒鳴った“まさかの理由” (※画像はイメージです/PIXTA)

筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきか語っています。本記事では、発達障がいの子どもについて、実例をもとに解説します。

成績の良い人ほど見過ごされる「発達障がい」

学校の成績が良ければ将来は安泰と考えている方も少なくないと思いますが、成績のよしあしと発達障がいであるかどうかは、完全には結びつきません。

 

子どもの頃から成績が良く、優秀な大学に入り良い企業に就職したとしても、会社に馴染めず、転職を繰り返すケースが増えています。その原因に、発達障がいが関わっていることが少なくないのです。

 

日本の現状の教育では、テストなどの学力が重要視されています。他人とうまく関われなくても、自己中心的な行動が目立っても、成績が良ければ良い大学に入ることもでき、良い企業に就職することも可能です。

 

頭の良い人は、たとえ発達障がいの症状が現れていたとしても、成績が良いことで周囲からもちやほやされることも多いためプライドが高くなりがちで、自分が発達障がいであるとは露(つゆ)ほども思っていませんし、周りから指摘されたとしても認めにくい傾向にあります。

 

親御さんも「この子は多少変わっているかもしれないけれど、成績が良いのだから大丈夫」とさして気にしないケースが多く見受けられます。そのため、成績が良いお子さんほど、発達障がいが見過ごされたまま成長してしまいがちです。

 

しかし、社会では、知識以上にコミュニケーション能力や協調性が重要視される傾向にあり、社会に出てから、発達障がいの症状が原因でつまずいてしまうことがあるのです。実は医師に、そのようなタイプが多く見られます。

 

こだわりを持って一つのことに打ち込めるという発達障がいの特徴が良いように作用すれば良いのですが、逆に、悪い方向に作用している医師の方も少なくないようです。眼科医の方のこんなエピソードを聞いたことがあります。

 

ある日、小学生のF君が視力測定のために近所の眼科を訪れました。初めは左目を隠して右目の視力を測定しました。視力測定者が「はい、結構です。それでは逆にして」と言うとF君は、右目を隠し、「上、下……」と答え、問題なく順調に測定できていると思われていました。

 

ところが、左目の視力がひどく悪い結果だったのです。そして、眼科医から告げられた病名は、「心因性視力障がい」でした。

 

父親がF君に聞くと、「検査のお姉さんが逆にと言ったので、全部逆に答えたんだ」というのです。

 

視力測定者は、目を隠す棒をもう片方の目にと言ったつもりでしたが、F君はさらに、答えまで逆に言ってしまったため、左目の検査は見事に外れたわけです。父親は眼科医に、「うちの子は自閉スペクトラム症で、行間がうまく読めないのです。決して心因性ではないと思います」と丁寧に訴え、再検査をお願いしました。

 

しかし、眼科医は、「俺の診断が信用できないのか?」と怒鳴って追い返してしまったというのです。これは嘘のような本当の話です。

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新訂版 発達障がいに困っている人びと

新訂版 発達障がいに困っている人びと

鈴木 直光

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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