香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
中小企業の需要回復も影響し、7月の中国PMIは高水準
財新が3日発表した、7月の中国財新非製造業PMIは55.5と市場予想(53.9)、前回(54.5)の数値を上回り、2021年4月以来の高水準となった。
財新の統計PMIは民間企業の構成比率が高く、中小企業については需要の回復基調がうかがえる。新型コロナウイルス関連規制の緩和に伴い、消費者信頼感が高まったことが背景となった。
中国では行動規制など一部の影響は残るものの、先週国家統計局から発表された非製造業PMI(50.4)を上回る結果と回復基調もみられる。製造業PMIについては節目の50割れと統計値にはばらつきもみられるが、引き続き中国の経済動向に注視したい。
8月に入って株式市場はボラティリティが高く、右往左往する相場が続く。
短期的には米中懸念の再燃や、Eコマース大手のアリババ含め米上場企業の上場廃止暫定リスト入りなど短期的な悪材料を受け、マーケットが振り回される感が否めない。
米国市場では先月のFOMCを終え、9月の政策金利を決定する会合まで、積極的な金融引き締めは後退しつつある。
マーケットの目線は足元の企業業績に目が向き米中市場は底入れの可能性も示している。ここ数日は米中対立を含めヘッドラインに左右される動きが続くが、冷静にマーケットをみつめることが大事である。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」