環境問題に寄与する運用ポートフォリオを構築
デンマークの風力タービンメーカーであるヴェスタス・ウィンド・システムズは、2020年の製造工程で7万3,000トンもの二酸化炭素を排出しましたが、今後20年間、同社の顧客が毎年、その45倍の炭素排出量を削減できるようにしていく予定です。
フランスの多国籍企業であるシュナイダーエレクトリックは、ビルやデータセンター、産業施設などにエネルギー管理システムを提供し排出量の削減を促しています。
これらの技術により、2020 年に4,500 万トンの 二酸化炭素排出を回避しました。これは同社の同年の排出量の85倍に相当するものです。
「魅力的な企業か否か」を判断する優れた指標
カーボンハンドプリントは、世界の気候変動問題に対処する強力なソリューションの提供を物語るものであり、魅力的な成長の可能性を秘めた企業かどうかを判断できる優れた指標です。
投資家にとっては、企業が気候変動との戦いにどのように貢献し、その貢献度が時間とともにどのように変化しているのかを評価できるツールになります。
独自の気候変動ソリューションを通じて脱炭素社会への貢献に積極的な企業に投資するためにカーボンハンドプリントを活用したいものですが、残念ながら、同指標に関する開示は、まだ業界標準とはなっていません。
企業の報告書や第三者の格付機関に頼ることができないため、個人投資家が自力で投資企業を選別するのは難しいといえます。
私たち資産運用会社は、経営陣と積極的にエンゲージメントを行い、独自のリサーチを行う立場にあります。
投資家が企業のカーボンハンドプリントを正確かつ納得のいくかたちで測定するために必要な情報を得るという役割があり、その精査が付加価値につながると考えています。
カーボンハンドプリントの指標として明確に位置づけ、銘柄選別の際に事業ファンダメンタルズへの評価と合わせて用いることで、優れた長期リターンを生み出し、環境問題に寄与する運用ポートフォリオを構築できるはずだと、私たちは考えています。
臼井 はるな
アライアンス・バーンスタイン株式会社
責任投資ヘッド
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