投資と気候変動は密接に関係している
地球の気候は、それぞれの地域の緯度・経度や地形などが相互に作用しあう、極めて複雑なシステムです。それゆえに、地形の変化や気候変動の激化にともなって、近年では大きな被害をもたらすような異常気象が地球規模で相次いでいます。北極の氷山の減少による大西洋の海温循環の変化や、アマゾンの熱帯雨林で頻発する干ばつなどは、その一例です。
地球システムのこの複雑な相互作用は、投資家にとっても大きな関心ごとになっています。投資対象企業の経営・戦略・ガバナンスの改善を促すうえで、気候変動によるリスクや投資機会を見極めることが、ひとつの課題となっているからです。気候変動が企業の財務に影響をもたらすことは、もはや否定できない現実なのです。
そこで注目しておきたいのが、気候科学。気候科学を活用することで、気候変動によるリスクを財務の情報に反映しうるほか、気候変動シナリオ分析から得られる結果の的確な解釈が、投資機会につながる可能性もありそうです。ここでは気候科学と投資を組み合わせることのメリットを、実際の研究を例にご紹介します。
再生可能エネルギーの信頼性を見極めるには?
太陽光や風力などによる再生可能エネルギーは、脱炭素化社会に移行するうえで重要な役割を果たします。しかし、太陽はいつも出ているわけではなく、風も常に吹いているわけではありません。また天候は、地域や季節によって大きく異なるものです。では、再生可能エネルギープロジェクトのリスクと機会は、どのように評価したらよいのでしょうか?
たとえば、風力発電所の建設計画では、その場所にどれだけ安定した風が吹いているかで発電量が大きく左右されます。当の事業者の予想は往々にして楽観的であり、利用可能な過去のデータには、すでに起きている気候の変化が反映されていない可能性さえ潜んでいるのです。
そこで投資家は、各地の気候パターンやその変化を把握し、それが再生可能エネルギープロジェクトに与える影響を分析する必要があります。たとえば世界各地の風のパターンに関する膨大なグローバルデータベースなどは、その一助となることでしょう。
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