妻30歳、夫34歳の共働き夫婦。ともに正社員。夫婦の年金合計は、月額約25万円です。平均的な高齢者夫婦世帯の支出は27万円なので、2万円ほどの赤字。老後の生活はかなり節約する必要がありそうです。不足がちの年金はどう対応すればいいのでしょうか。フィナンシャルプランナーの長尾義弘氏が著書『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)で解説します。

正規雇用→キャリアアップ→70歳まで働く

▶30代の派遣社員/非正規から正社員になることで収入・年金が大幅アップ

現状
 
33歳、シングル。派遣社員として働いており、平均賃金(月額)は17万円です。実家で暮らしているので、給与はすべて自分のために使えます。


 
65歳からの年金受給額の見込みは、

 

●月額10.5万円(年額約126万円)

 

いまの働き方を楽しんでいるものの、このまま非正規雇用でいいものか悩んでいます。

 

対策

 

家賃がいらないとはいえ、約10.5万円の年金では心もとないでしょう。

 

まずは非正規雇用から正社員への道を考えましょう。派遣よりも、雇用や収入の面で安定感が増します。

 

正社員になれたら、次はキャリアアップを目指します。キャリアを磨くことは収入アップにつながりますし、より充実した仕事ができます。

 

ここでは35歳で正社員として就職し、キャリアアップに成功したとします。すると、35歳から59歳までの平均給与は30万円になります。60歳の定年後も70歳まで働き続け、その間の平均給与は半減すると考えても15万円です。

 

正規雇用→キャリアアップ→70歳まで働く。この3ステップを積み重ねた結果は、

 

●70歳からの年金受給額──月額約17.7万円(年額約212万円)

 

ずっと派遣社員を続けていた場合に比べて、かなり多くなりました。平均的な支出と比べても3万円上回っていますから、少し余裕のある老後生活が送れると思います。

 

ただ、シングルは老後の面倒を自分で見なければなりません。

 

介護が必要になったり、両親が他界して一人暮らしになったときは、老人施設への入居を考えるかもしれません。サービス付高齢者住宅などに入るには、ある程度の蓄えも必要です。

 

給与が上がったのを機に、イデコやつみたてNISAを利用して資金をしっかり作っておきましょう。

 

長尾義弘著『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)より。
長尾義弘著『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)より。

 

長尾 義弘
フィナンシャルプランナー

 

本連載は長尾義弘氏の著書『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。

私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。

長尾 義

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