(※写真はイメージです/PIXTA)

PDCAの徹底的に繰り返すことは、仕事の質とスピードを高めるだけでなく、個人の能力や組織の力も急激に成長する効果をもたらしてくれます。PDCAをどのように回していけばいいのでしょうか。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

PDCAはレベル5を目指しやり方を進化させる

PDCAの行い方にもレベルがあります。これまでセミナーの受講者などに尋ねてみると、多くの会社が下表でいうレベル3程度にとどまっているようです。本書で推奨しているのはレベル5です。具体的にみていきましょう。

 

レベル1:中期経営計画や単年度の予算で計数計画だけを立案し、活動計画などは立てていません。そして、予実対比ということで、予算と実績を見比べて進捗管理を行っているレベルです。

 

レベル2:レベル1に加えて、計数の差異分析を行っているレベルです。差異分析は、予実差の大きなところからその原因分析を行います。ただそこから先PDCAのAに相当するAction=修正行動にまでは繋げられていないレベルです。

 

レベル3:レベル2に加えて、修正行動を議論し、当月以降の活動を変えるように取り組んでいくレベルです。PDCAの考え方は、一応このレベルでも実行できているといえますが、P  Planの段階で作られているのは、計数計画だけということになります。

 

レベル4:計数計画のみならず、活動計画も立案し、予実差がどのような活動と関連しているかを議論、分析し、活動計画の修正を行って行くレベルです。ある程度活動計画がブラッシュアップしていくことが期待できます。

 

レベル5:活動計画に加えて、活動計画の目標指標としてのKPI設定を行い、計数計画・活動計画・KPIを三位一体でPDCA、進捗管理が行えるレベルです。このレベルになると、「PDCAのCチェックの差異分析は要因分解して行う」の項で紹介したように、チェックの段階で、予実差を環境要因E、活動計画要因C、KPI要因Kに分けて分析できるようになります。

 

その結果、より効果的な対応策Mが立案でき、PDCAの行い方をレベルアップできるようになります。

 

レベル6:レベル5の活動を続けていると、PDCAとともにマネジメントが進化するレベル6に到達することができます。これまでの調査では、レベル6に到達できている企業は1割にも満たない比率です。

 

活動計画の立案やKPI設定のワークショップを行うと、やり慣れていないので当初戸惑う人たちもいますが、ひとたび考え方のコツが飲み込めると、2回目からはすらすらできるようになります。つまり、ふだんからそうした思考法に慣れていないだけだということです。

活動計画を作りたがらない理由の一つに、計画で自分をがんじがらめにしたくないということもあるかもしれません。ただ、活動計画を後で立てようと思うと、結局通常業務に流されてしまってできないので、計画立案時に立てておいた方がいいのです。

 

 

ポイント
PDCAは活動計画とKPIを設定しレベル5を目指す

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

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