「変に絡まったタンパク質」に体はどう“対応”する?
しかし、ヒトの体はうまくできており、仮に変な絡まり方をした異常なタンパク質が発生しても、きれいにほどいてくれるタンパク質があるのです。
それがHSP(Heat Shock Protein=熱ショックタンパク質)と呼ばれるタンパク質です。
細胞は水を除くとほとんどがタンパク質でできていますが、HSPはすべての細胞の中に普遍的に存在していて、体(細胞)に「熱(一種のストレス)」が加わると誘導されて、傷んだ細胞を修復します。
私たちが元気に生きていられるのも、知らない間にせっせと修理に励んでくれるHSPがいるからこそであり、HSPは“細胞の修理屋さん”ともいうべきありがたいタンパク質なのです。
しかしながら、変な絡み方をしたタンパク質が少量であればHSPが分解処理してくれますが、大量になってくるとHSPの処理能力を超えてしまい、変な構造をもったタンパク質がたまって、フォールディング病の発症へとつながってしまいます。
ということは、HSPをたくさん生体内で増やすことができる物質を体内に投与すれば、HSPの処理能力が上がり、フォールディング病治療につながるということになります。
じつは、私が最近注目しているもう一つの健康のキーワードが、この「HSP」なのです。HSPは世界中で多くの研究者が研究をし、医療の現場でも注目されているタンパク質です。
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北 廣美
1949年、奈良県生まれ。1976年、和歌山県立医科大学卒業。
近畿大学医学部付属病院第一外科、昭和病院外科医長を経て、現在、医療法人「やわらぎ会」理事長。
主な著書
『C型肝炎と乳酸菌』(共著、メタモル出版)
『がんを倒す勝利の方程式』(共著、東邦出版)
『がん治療 重大な選択』(東邦出版)ほか