(※写真はイメージです/PIXTA)

「PDCAサイクル」は業務改善のフレームワークです。日本企業での多くは、計画立案時には計数計画の立案、いわゆる予算の立案を中心に行い、具体的にどう実行するかという活動計画の立案面が弱いといわれています。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

KPIは財務値と業務値・プロセス値を紐づける

KPI(Key Performance Indicator)は、重要業績評価指標と訳されますが、KPIをさらに、KGI(Key Goal Indicator:重要目標指標)ともう一つのKPI(Key Process Indicator;重要プロセス指標)に分けて管理することをお勧めします。

 

(1)KGI(Key Goal Indicator:重要目標指標)

経営目標や部門目標、特定の課題の目標のことを指しています。例えば経営目標の場合、次の図のように営業利益率を2%から5%に3%増やしたいとします。この目標を達成するために、粗利益率をアップするとともに、販管費率を下げることとします。

 

粗利率をアップするために、売上高を増やすとともに原価低減を行うというように、経営目標のブレークダウンを行っていきます。この定量的なブレークダウンが行われる部分をKGIパートと呼びます。

 

2)KPI(Key Process Indicator;重要プロセス指標)

KGIパートは、ある程度までブレークダウンをすると、それ以上ブレークダウンが行えなくなります。目標のブレークダウンを行っているだけでは目標達成できませんので、続いて方策(プロセス)のブレークダウンに移ります。

 

記入例では、シューズ販売店の売上高を10%アップするために、接客率を上げるという方策と、顧客1人あたりの買い上げ点数を上げるという方策を設定しました。そして、その方策のKPIとして、従業員1人当たりの1日の接客数目標と顧客1人あたりの買い上げ靴数を設定しました。

 

このように、KGIを達成するための目標のブレークダウンと、方策のブレークダウンを行い、業務・プロセス目標としてのKPIを設定します。ブレークダウンを行う時の注意事項が2つあります。

 

①MECEな区分

MECEというのは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字を取ったもので、日本語では「もれなく、だぶりなく」といわれます。つまり、下方に向かってブレークダウンしていく際に、抜け漏れが発生しないように分解していく必要があるということです。

 

②必要十分条件を整える

営業利益から右へ展開していく際に、左側のことを達成するために右側のことが必要だということで、左から右へ必要条件を整える形でブレークダウンしますが、右のことを実施したら左が達成できるかどうかという十分条件も備える必要があります。必要条件と十分条件の両方を備えることで目標が達成できます。

 

 

ポイント
KGIからKPIにブレークダウンして目標達成

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

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