フィリピン・マルコス政権…新スキームで「ビルド・ビルド・ビルド政策」を維持

7月18日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン・マルコス政権…新スキームで「ビルド・ビルド・ビルド政策」を維持
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏による、最新のフィリピンレポート。今回は、インフラ投資への積極姿勢が明らかになってきたマルコス新政権の動向と、そこで注目される企業を中心にみていきます。

ドゥテルテ政権とは異なる、新政権のインフラ投資

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マルコス大統領は、彼の任期の終わる6年後までに、公共インフラストラクチャ投資を、国内総生産(GDP)対比過去最高の6.3%まで増やすアグレッシブな計画を持っています。マルコス政権がドゥテルテ政権の「ビルド・ビルド・ビルド政策」を維持する姿勢が明確になっています。

 

ただし、このインフラ投資の進め方、スキームは異なります。新政権は、長引くCOVID-19のパンデミックによって引き起こされた政府の債務増を考慮して、官民パートナーシップ(PPP)を積極的に活用していく方針です。

 

ドゥテルテ政権は、政府の保証、補助金、政府にとって不利な条項などを嫌い、PPPを積極的には活用してきませんでしたので、1.5兆ペソ相当の未承諾のPPPプロジェクトが20件あります。

 

2021年、国、地方自治体(LGU)、国営企業がインフラストラクチャに費やした1.12兆ペソは、GDPの5.8%に相当します。今年2022年は、1.19兆ペソを費やす予定で、これはGDPの5.5パーセントです。

 

2023年のインフラストラクチャの総支出を1.28兆ペソ(GDPの5.4パーセント)に設定し、2024年には1.39兆ペソ(GDPの5.4パーセント)、2025年には1.51兆ペソ(GDPの5.3パーセント)、2026年には1.71兆ペソ(GDPの5.5パーセント)、2027年にはGDPの5.8%に相当する2兆ペソを超える計画です。

 

そして、2028年、マルコス大統領が6年間の任期を終える年には、インフラストラクチャプログラムは2.38兆ペソ、GDPの6.3パーセントに達する計画です。

 

このようなPPP案件に実績があり、今後もこの分野での事業拡大を狙うのが「MEGAWIDE Construction Corp.(MWIDE)」です。

 

同社のプレキャスト工場および建設ソリューション事業が、国際標準化機構(ISO)ISO 9001:2015に認定されました。このことにより、同社はより大規模なプロジェクトへの参画が可能になります。今回のISO認定には、プレキャストユニット以外にも生コンクリート製造、建設機械、ロジスティクスサービス、型枠事業も対象となっています。

 

筆者も今回「MWIDE」の創業者でCEOのエドガ氏と面談し、プレキャスト工場と資材物流行程などを視察しましたが、エドガ氏自身エンジニアで、細部に渡ってこだわりをもち、日本やドイツから取り入れた技術を上手にローカライズし、フィリピンでは最高の品質と効率性を構築した手腕には感心しました。

 

「MWIDE」は、合弁パートナーである東急建設と飛島建設と共に、最近、マニラ首都圏地下鉄の建設工事を受注しました。

 

また、「MWIDE」はセブの100年の歴史を持つカーボン地区を、公共市場を含めて近代化する地元自治体とのPPP事業も推進しています。

 

さらには、昨今、住宅開発業者の「PHirst Park Homes、Inc.」(三菱商事とセンチュリープロパティーのジョイントベンチャー)と、カビテでプレキャスト材料を使用して1,664戸の住宅を建設する契約を締結しています。

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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