写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏による、最新のフィリピンレポート。今回は、フィリピンでも高まるインフレ懸念とその対応としての中央銀行の利上げ政策、さらに住宅不足への対応として日独から技術導入しマーケットに切り込む大手ゼネコンの動向について解説します。

インフレ懸念に対するフィリピン中央銀行の対応

「フィリピン中央銀行(BSP)」は、インフレの上昇を抑えるために、今年、政策金利を「少なくとも100ベーシスポイント(bps)」引き上げる可能性があるとしています。「BSP」は、インフレ目標(2〜4%)の中間点よりも高い政策金利に移行する必要があると考えているため、政策金利は少なくとも3%まで持っていく方針です。

 

100(bps)というのは、これが根拠です。場合によっては、利上げが150bpsになり、2022年末までにベンチマークレートが3.5%になる可能性もあります。

 

BSP総裁は、8月18日の金融政策委員会の次回会合で、少なくとも25bpsの増加は、ほぼ確定だが、最大50bpsの大幅な増加も有り得ると述べています。

 

金融政策委員会は、すでに5月19日と6月23日の会合で、それぞれ25bpの利上げを行い、今年これまでに合計50bpsのベンチマーク金利引き上げを実施しました。食品、運輸・輸送、公共料金の高騰を反映して、6月のインフレ率は5月の5.4%、1年前の3.7%から6.1%にまで上昇しました。2018年10月の6.9%以来の高数値でした。また、前月比でも0.9%上昇しました。

 

2022年度の残りの金融政策委員会は、8月18日、9月22日、11月17日、12月15日に開催されます。米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な金融引き締めは、ペソ安への大きな圧力となっています。

 

年初来では、ペソは1ドルあたり51ペソの2021年12月31日の終値から8%程度下落しました。これは、2005年10月25日にドルに対して55.26ペソで取引を終えて以来16年ぶりの安値圏です。フィリピンでは、ペソ安への為替レートの1%の変化は、インフレ率を0.05から0.1%引き上げると言われています。フィリピンがすでに非常に高いインフレを抱えていることを考えると、より一層のペソ安に警戒する必要があると、中央銀行総裁は述べています。

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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