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相続をめぐるトラブルがこじれたり、もともと家族どうしの仲が悪く疎遠であったりすると、相続人であるにもかかわらず連絡を拒否して話し合いに応じない人もいます。連絡を拒否して手続きに非協力的な相続人がいる場合の対処法についてみていきます。

連絡拒否をする相続人がいるときの対処法

相続人の中に連絡を無視したり応対を拒否したり非協力的な人がいると、当事者どうしで解決することは難しくなります。

 

ただし、連絡を拒否されたからといって、ただちに裁判所で法的手続きをとることはおすすめしません。どうしても解決できない場合は法的手続きをとることになりますが、最初にとるべき手段ではありません。まずは、第三者に間に入ってもらうなどして話し合いで解決を図ることが大切です。

 

中には、早く手続きを進めるため残りの相続人だけで遺産分割協議をして、連絡を拒否する相続人に遺産分割協議書への押印を強要するケースもみられます。相手に悪い印象を与えてトラブルが深刻になる恐れがあるため、このような強引な方法は避けましょう。

 

どのような不利益があるかを具体的に伝える

まず、連絡を拒否する相続人に改めて相続手続きに協力してもらうよう依頼します。手段は電話、手紙、メールのいずれでも構いませんが、事前に連絡をしないで訪問することは控えましょう。

 

このとき、ただ協力をお願いするだけでは効果は乏しく、このまま放っておくとどのような不利益があるかを具体的に伝えます。たとえば、以下のようなことを丁寧に伝えるとよいでしょう。

 

●死亡から3ヵ月を過ぎると相続放棄ができなくなり、故人の借金を負わなければならない

●預金の引き出しや不動産の名義変更ができない

●相続税が高くなる

●最終的に裁判所で法的手続きをとることになり、お互いに面倒なことになる

 

連絡を拒否することでどのような不利益があるかがわかれば、相手も話し合いに応じるようになるでしょう。

 

一方で、そもそも遺産相続に関心がない人にはあまり有効ではないかもしれません。その場合は、相続放棄をして話し合いから外れるように提案してもよいでしょう。

 

第三者に間に入ってもらう

連絡拒否によってどのような不利益があるかを伝えてもなお連絡拒否や無視が続く場合は、第三者に間に入ってもらって解決を図ります。

 

仲の悪い親族と会うことが嫌で連絡を拒否している場合は、第三者が間に入ると解決に向かうかもしれません。相続問題の専門家である弁護士が間に入ることで、相手が話し合いに応じるようになるケースもあります。

 

しかし弁護士が表に出ると、すぐに法的手続きをとると誤解されて相手の態度が硬化することもあります。そのような心配がある場合は、相続人でない親族や共通の知り合いなど、遺産相続に関係しない身近な人に間に入ってもらってもよいでしょう。

 

家庭裁判所の法的手続き(調停・審判)で解決する

第三者に間に入ってもらっても話し合いができなかった場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てて、法的手続きで解決を図ります。

 

ただし、遺産分割調停は調停委員が間に立って話し合いをする場であり、相手が出席しないなどの理由で不調に終わることも少なくありません。

 

遺産分割調停で解決しない場合は「遺産分割審判」に移ります。遺産分割審判は、申立人と相手方の双方の事情や提出された証拠をもとに、裁判官が遺産分割の方法を決定します。調停とは異なり、相手が出席しなくても審判が進められます。最終的には法定相続分で分けるようになることがほとんどです。

 

審判が確定すると裁判所から審判書が送られてきます。審判書には判決と同様の効力があり、遺産分割協議書がなくても遺産分割の手続きを始めることができます。

次ページ連絡拒否が続くとさまざまな問題が起こる

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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