環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素に配慮した企業を重視するESG投資において、資源エネルギーや防衛は、投資が敬遠されていた産業です。ところが、ロシアのウクライナ侵攻によってがらりと変わり、いまや注目の的になっています。これからのESG投資で、この2つの産業をどのように捉えるべきなのでしょうか? アライアンス・バーンスタインの責任投資推進室長、臼井はるな氏が考察します。
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株価上昇が目立つエネルギーや防衛
世界の株式市場で不安定な値動きが続くなか、勢いづいているのが「資源エネルギー」と「防衛」の2つの業界です。実際、2022年の年初から3月25日までに米国のS&P500指数を構成するエネルギー・セクターは42.3%、航空宇宙・防衛セクターは13.5%、それぞれ上昇しています。
サステナビリティや環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点でこれまで投資家が敬遠してきた2つの業界は、いまや世界の新たな現実に対処するための重要なプレーヤーだと考えられるようになってきたのです。
そこで今回、それぞれの業界について注目点を整理します。
エネルギー業界が注目されている背景
エネルギー業界が注目されている背景として、エネルギーが安全保障にとって重要性を増していることがあげられます。
米国ではガソリン価格が急騰し、ロシアからの供給に頼っていた欧州の天然ガス価格も跳ね上がりました。それぞれの国や地域がグリーンエネルギーへの移行を進めるなかでも、石油やガスといった従来型のエネルギー源への十分なアクセスが必要であることが痛みを伴って明らかになったわけです。
また、脱炭素化の流れが化石燃料生産への投資を抑制し、エネルギー価格を押し上げる要因になったともいわれています。
そもそもロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻に踏み切ったのは、それ以前に石油やガスの価格が高騰していたことで、ロシアが経済的に西側諸国よりも優位な立場にあったことが一因だと指摘する政治評論家もいます。
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アライアンス・バーンスタイン株式会社
責任投資ヘッド
2018年に運用戦略部のクレジット・スペシャリストとして入社。2020年より責任投資推進室長を兼務した後、2022年より専任の責任投資ヘッドに就任しESG関連の取り組みを統括。
入社以前は、野村アセットマネジメント株式会社にてエクイティ・アナリストおよびクレジット・アナリストとして証券分析業務に従事。うち7年間は、ノムラアセットマネジメントUKリミテッド(在ロンドン)にて勤務。
慶應義塾大学経済学部にて学士号、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にて経営学修士号(MBA)取得。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト
著者登壇セミナー:https://kamehameha.jp/speakerslist?speakersid=8193
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連載【アライアンス・バーンスタイン】新たな時代における「責任投資(ESG)」の重要性