実は恐ろしい病気、脂肪肝…改善には「玄米」が有用?医師が教えるいろんな治療法 (※写真はイメージです/PIXTA)

肝臓病は、原因はなんであれ肝炎→肝硬変→肝がんへと進行していくことがあります。これは、日本人の3人に1人といわれる「脂肪肝」も例外ではありません。本稿では、近年注目を集めている「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」、いわば「飲酒が原因でない脂肪肝」に焦点をあて、治療方法を見ていきましょう。みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

「飲酒を原因としない脂肪肝」でも肝硬変になりうる

NAFL:単純な脂肪肝。肝細胞に脂肪が沈着しているだけで、炎症や線維化はない NASH:進行性。肝細胞の傷害や炎症を伴っており、肝硬変や肝がんを発症するリスクがある
[図表1]参考:脂肪肝の分類 NAFL:単純な脂肪肝。肝細胞に脂肪が沈着しているだけで、炎症や線維化はない
NASH:進行性。肝細胞の傷害や炎症を伴っており、肝硬変や肝がんを発症するリスクがある

 

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)には、病態がほとんど進行しないNAFLと進行性の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)があり、それぞれ診断基準が異なります。その違いを医学的に説明すると、次のようになります。

 

●NAFL:肝細胞の脂肪変性のみ、または脂肪変性に炎症細胞の浸潤(白血球やリンパ球などの細胞が炎症の部位に集まっている状態)のみを認める

 

●NASH:肝細胞の脂肪変性、炎症細胞の浸潤に加え、肝細胞が風船のように膨らむ風船様肝細胞腫大や肝線維化を認める

 

注意点としてNAFLの一部は、進行速度は遅いものの線維化が進行する(これが肝硬変という病気です)こともあるため、脂肪肝と分かったら、できるだけかかりつけ内科医の指導のもとでの生活習慣改善と経過観察が必要です。

NAFLD/NASHの治療方法

■現状、NAFLD/NASHには「保険適用の薬剤」がない

そもそもNAFLD/NASHは治るものなの?という疑問も湧いてくるかと思います。

 

まず前提として、現時点で、NAFLD/NASHに対して日本で認められた保険適用となる薬剤はありません。例えば身近な病気では、インフルエンザにかかったらインフルエンザ治療薬、花粉症には花粉症治療薬といった薬がありますが、脂肪肝には確立された治療法というものが、まだないのです。

 

肥満人口の多いアメリカではNASHの患者が見過ごせないくらい増えているため、治療薬の開発・治験が進んでいます。アメリカでは10社ほどで治療薬について治験が行われており、今後治療の選択肢が広がる可能性は十分あります。一方で日本では試験中の脂肪肝の治療薬はほとんどありません。

 

■保険適用の薬剤がないからこそ、「進行を防ぐ対策」が重要

まずNAFLDのうち単純性脂肪肝(NAFL)の患者の場合には、減量のための運動療法や食事療法が図られます。脂肪肝の多くは、内臓脂肪の蓄積(メタボリック症候群)とそれに伴うインスリン抵抗性が発症や病態の進行に関与していることから、やはり肥満や炎症サイクルを断ち切るという意味で減量が勧められます。

 

NAFLDまたはNAFLの段階で注力すべきは、メタボリック症候群を抑えることと、肝障害(炎症や肝線維化)の進行を防ぐことの2つです。メタボがなく脂肪肝だけなら、日常生活の是正を第一にします。肥満、Ⅱ型糖尿病、高血圧、脂質異常症等の合併症があれば、これらの薬物治療も並行して行います。

 

脂肪肝の治療薬がない以上、NASHへと進む可能性をできるだけ排除しなくてはなりません。脂肪肝の治療では、線維化を早期に見つけることも大きな課題となっていますから、かかりつけ医での定期的な経過観察を欠かさないようにしましょう。

 

NASHへと進んだ場合にも、肥満症例では食事療法と運動療法により引き続き減量を図り(目標7%以上)、標準体重を目指していきます。生活習慣病がある場合には、積極的にその治療を行います。脂質異常症、糖尿病、高血圧の治療薬の中には、NASHに対して有効とされるものもあります。それでも効果が見られない場合には、それ以上進行しないように胃の容量を減らす治療が検討されます。

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    みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
    東邦大学医学部客員講師
    元日本胆道学会評議員

    1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

    1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

    現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

    著者紹介

    連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

    ※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    死肪肝

    死肪肝

    川本 徹

    幻冬舎メディアコンサルティング

    沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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