脂肪肝の予防・改善には「睡眠」が重要。寝つきを良くする方法も紹介【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

脂肪肝は、あらゆる生活習慣病の入り口として、肝臓病の中でももっとも要注意の病態です。脂肪肝の改善は、あらゆる疾病リスクを軽減することにも繋がります。本稿では「睡眠」に着目し、脂肪肝を始めとする生活習慣病リスクを減らす方法を見ていきましょう。みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

短時間睡眠は肥満リスクを高める

睡眠と体の関係は研究が進んでおり、短時間睡眠が肥満リスクを高めることは、さまざまな研究から明らかになっています。ある研究によると、肥満度は7〜8時間眠る人で最も低く、5時間未満の方は肥満になりやすいとされています。その理由は、いくつか挙げられます。

 

まず睡眠時間と食欲との関係ですが、寝不足の状態では食欲増進ホルモンの「グレリン」の分泌量が多くなり、逆に食欲を抑えるホルモンの「レプチン」の分泌量が減ってしまうことが分かっています。つまり睡眠不足になると食欲が増進しやすいのです。

 

夜更かしの日が続くと、なぜか食べ物に手が伸びてしまうということはありませんか。これは、もともと持っている生理的な仕組みが食欲を増進させてしまっているといえます。

 

また慢性的に睡眠時間が少ないと血糖を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)や、糖質コルチコイド(血糖を上昇させる)が過剰分泌され、午後から夕方にかけて減るはずの甲状腺ホルモン(新陳代謝の過程を促進する)や、コルチゾール(免疫抑制や抗炎症代謝の促進などを司るホルモン)が十分減らなくなることなどがわかっています。不眠症状のある人では、快眠できている人に比べて糖尿病になるリスクが1.5倍〜2倍になることが知られています。

 

ほかにも睡眠中は「成長ホルモン」の分泌が増え、全身の細胞の修復が行われて、新陳代謝が上昇します。このときには、脂肪の元になる中性脂肪の分解が行われ、筋肉の修復も行われます。眠りが浅い、中途覚醒が多い、そもそも寝ていないといった状況では、成長ホルモンの分泌が妨げられてしまう可能性があります。

 

このように睡眠の良し悪しは、脂肪代謝にも影響し、慢性的な睡眠不足では脂肪肝や生活習慣病のリスクを抱えてしまいます。脂肪肝になりたくなければ、睡眠不足は厳禁です。

「睡眠時間の量」だけでなく「睡眠の質」も大切

理想は、時間を十分とった睡眠ですが、むしろ睡眠の質をよくすることが大切であることも分かってきました。そして、その質を左右するのが、寝入り始めの深い眠りです。

 

睡眠にはレム睡眠、ノンレム睡眠という種類があり、決まったリズムが繰り返されます。まずノンレム睡眠から始まり、一気に深い眠りに入ります。特に大切なのが眠り始めの3〜4時間です。この間に深い睡眠をとることで、体内では脳の疲労物質の除去や全身の細胞の修復、免疫力を高めるホルモンの分泌が盛んに行われます。また1日に分泌される成長ホルモンの7〜8割が出るとされています。

 

なお夜に眠くなるために働くのが「メラトニン」というホルモンです。メラトニンは、体内時計を調節し、覚醒と睡眠を切り替えて自然な眠りに誘う作用のほか、抗酸化作用や内臓脂肪蓄積抑制作用などの生理作用があることが知られています。血糖の代謝に必要なホルモンともいわれており、糖尿病、高血圧、動脈硬化などとの関連性が指摘されています。

 

毎日気持ちよく眠る生活は、病気をしない体づくりにつながるうえ、ダイエットにもいいということになります。質のいい睡眠がとれたかどうかの目安の一つは、朝スッキリ目覚めたかどうかです。睡眠の質には、生活リズムや睡眠環境が大きく影響します。熟睡できる環境を整えましょう。

良質な睡眠をとるには?寝つきが良くなる「習慣」

日本は、世界有数の睡眠不足大国です。とりわけ働く日本人女性は、世界的に見て最も寝ていないというデータがあるほどです。また男女ともに40〜50代の睡眠時間が短くなっています(厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」)。

 

50代は、高血圧、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に何度も呼吸が止まる、浅くなるなどで、体が低酸素状態となる)などの病気が増え、ちょうど脂肪肝の有病率が高い年代とも重なる時期です。

 

“睡眠負債”という言葉があります。近年では日々の睡眠不足が積み重なっていくことで、肥満などの生活習慣病をはじめ、うつ病、がんといった病気のリスクや心身の不調につながることが分かってきました。睡眠不足のツケは、想像以上に大きいのです。脂肪肝のない太りにくい体を目指すためにも、質のいい睡眠をとる工夫を積極的に取り入れましょう。

 

睡眠の質を高めるには、メラトニンの分泌リズムを利用すると良いとされています。

 

メラトニンは、朝起きて太陽の光が目に入ってから16時間ほどで脳から分泌される仕組みになっています。リモートワークが増え、通勤しなくなってから生活リズムが狂ってしまったという人もいると思います。夜に自然に眠くなるためにも、朝は定時に起きて部屋のカーテンを開けて、陽の光を浴びましょう。逆に夜は、できるだけ明るい光を避けるようにすると、メラトニンがしっかりと分泌されて、寝つきが良くなります。

 

また夜深い眠りに入るには、就寝時に、日中活発に働く交感神経から、リラックスするときの副交感神経に切り替わっている必要があります。

 

そのためにも出来れば食事やお酒は就寝3時間前までに済ませ、ゆっくり入浴したり、灯りを調節したりするなどして、夜は早めにリラックスモードに入るようにしましょう。深呼吸をするなども効果的です。

 

夜遅い時間の食事や、就寝前のスマホやパソコン作業、激しい運動などは、自律神経を興奮させ、交感神経優位にしてしまうので逆効果です。

 

体が冷えやすく寝つきが悪い人は、軽めのストレッチや入浴で、一旦深部体温を上げてから床につくと良いとされています。深部体温が上がって下がるときに、人は眠気を感じやすくなるからです。深部体温は、日中から夕方にかけて徐々に高くなっていき、夜から朝にかけて下がっていくというリズムがあります。

 

週末に寝だめをするのは生活リズムを崩してしまうので、先ほどの睡眠負債を返済することにはなりません。寝不足をしてしまったら、日中に短時間の昼寝(20分程度)を取り入れる方が良いとされています。

 

 

川本 徹

みなと芝クリニック 院長

 

 

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    みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
    東邦大学医学部客員講師
    元日本胆道学会評議員

    1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

    1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

    現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

    著者紹介

    連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

    ※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    死肪肝

    死肪肝

    川本 徹

    幻冬舎メディアコンサルティング

    沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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