賃貸物件のオーナーは、騒音やペット問題など、しばしば入居者が起こすトラブルに遭遇することがあります。利用規則に違反する入居者がいると他の入居者の迷惑になるため、早期に対応しておきたいところです。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、 迷惑な入居者の明渡請求について原田和幸弁護士に解説していただきました。
入居者の同意があれば解除理由は不要
前記は裁判を視野に入れて解説をしましたが、裁判でなくても貸主から借主にお願いして、退去してくれる場合も多々あります。借主の同意が得られる場合は、賃貸借契約の解除原因がなくてもよいわけです。
例えば貸主側から、けんか腰ではなく借主側に理解を求めるような話をして、退去していただく場合もあります。
そうはいっても、貸主側から単に「退去してほしい」と言ったところで、簡単には借主側と話が進まない場合もあります。
その場合は貸主側から、例えば立退料(引っ越し代、次の賃貸借契約に必要な費用、+α)の提示をして、ご納得いただく場合もあります。
その話し合いの中で、前に述べたように具体的な迷惑行為の内容を借主に話し、また、証拠も提示することによって、退去の交渉に迫力を持たせることもありえます。
その結果、もし裁判に十分な必要な事情・証拠がそろっていなくても、借主が「退去しよう」と考える場合もありうるわけです。
裁判ともなると、仮に裁判で負けた場合、借主としては「解除原因がなかったのなら、今までどおりで構わないのではないか」と考え、貸主側がこれからずっと悩まされることにもなりかねません。そのため、裁判に踏み切るかは、慎重に検討されたほうがよいと思います。
弁護士。
原田綜合法律事務所
これまで、離婚・男女問題、不動産、刑事事件、相続・遺言、債権回収などさまざまな案件の対応実績があります。弁護士になる以前は、民間の不動産会社に約15年勤務しており、不動産分野を得意とし、一般の方からだけでなく、弁護士や不動産会社からも相談を受けています。お堅い弁護士というより、気軽に相談できる弁護士になりたいとの信念のもと、親しみやすく話しやすい事務所の雰囲気を心掛けています。
◇経歴
上智大学法学部法律学科 卒業
民間不動産会社にて不動産関係業務に従事
司法試験合格、司法修習終了後、弁護士登録
原田綜合法律事務所を開設し、現在に至る
◇所属
東京弁護士会所属
同弁護士会 不動産法部会所属
宅地建物取引士登録
◇メディア出演・取材協力は多数
https://www.harada-law.jp/
〈ココナラ法律相談の掲載ページ〉
https://legal.coconala.com/lawyers/1111
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