早期退職は老後の収入減のリスク高し…慎重に検討を
また、早期退職したあとに仕事に就かない場合、老後に受け取れる厚生年金が減るデメリットもあります。厚生年金で受け取れる金額は年収や加入期間によって変わりますが、たとえば、ざっくりの計算で、生涯の平均年収500万円の人が50歳で退職した場合、65歳時点で受け取れる年金額より年40万円ほど減ってしまいます。仮に30年受け取ったら1200万円もの差がつく計算です。早期退職によって老後の収入が減ってしまう可能性があるのです。
「早期退職に応じて、別の会社に再就職すればいいのでは」そう思う方もいるでしょう。しかし、50代で一度辞めると、残念ながら同水準の給料がもらえる再就職先がなかなか見つからないのが現実です。
たとえ退職金が1000万円上乗せされたとしても、年収500万円がゼロになってしまえば2年で帳消しになってしまいます。こうしたリスクを考えると、よほど余裕資金がある場合を除いて、早期退職をするべきではないでしょう。長生き時代に備えるには、安定して長期的に働くことが大切なポイントのひとつです。
もっとも、早期退職は自分の生き方にも関わってくる問題でもあります。若いときから一生懸命頑張ってきた方でも、50代を迎えて老後が見えてきたときに、今後どんな仕事をすればいいのか、老後を迎えるまでに何をしたいのか悩む方は少なくありません。
今の会社で定年まで働き続けるのもいいのですが、ほかにやりたいことが明確にあるならば、早期退職して別の会社に転職して働くのもいいでしょう。自分のやりたいことが既存の会社でできないなら、いっそ起業するのもひとつの方法です。
お金は大事ですが、自分のしたい仕事をせずにお金の面だけで今後を決めると後悔のもとになりかねません。ですから、会社に早期退職制度がある方はもちろん、そうした制度がない方でも、一度どんな仕事がしたいのか、今後の生き方について考えてみることをおすすめします。
頼藤 太希
株式会社Money&You代表取締役
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