約2割の会社には「退職金制度がない」
会社を退職したときに受け取るお金といえば、退職金です。しかし退職金は、法律で支払うことが決まっているお金ではありません(公務員は法律で退職金の支払いが規定されています)。厚生労働省「就労条件総合調査」(2018年)によると、退職金制度がある会社は80.5%。いいかえれば、残りの約2割の会社には退職金制度がないのです。ですから、まずは退職金がもらえるかを会社に確認しましょう。
退職金の受け取り方には、大きく分けて一時金(一括)で受け取る方法、年金(分割)で受け取る方法、一時金と年金を組み合わせて受け取る方法の3種類があります。自分の場合、どんな受け取り方をするのか(選べるのか)を確認しましょう。
さらに、もっとも気になる退職金額もぜひ問い合わせてください。おおよそ合計でいくらになるかを確認しましょう。老後資金を考えるうえで、退職時にいくらもらえるかはとても重要です。
もっとも、近年は退職金の金額も減っています。今後も、この傾向は続くでしょう。老後資金を退職金頼みにすることはできなくなってくると考えられます。
◆会社員・公務員の退職金は減っている
●一般企業の退職金額の推移 → 20年で約1,080万円減っている
●公務員の退職金額の推移(国家公務員) → 4年で100万円近く減っている
そんななか、近年話題なのが早期退職制度(希望退職制度)。会社が退職者を募り、それに応じた人が退職する制度です。早期退職制度を利用すると、多くの場合、割増退職金がもらえるうえ、自己都合ではなく会社都合で退職できます。会社都合で退職すると、失業手当(雇用保険の基本手当)が自己都合の退職より有利に受け取れます。
東京商工リサーチの発表によると、上場企業が2021年に募った早期退職者は1万5892人。新型コロナウイルスの影響を受けて2020年度から増加したとのことです。企業にとっても、多少退職金を上乗せして払ったとしても、給与が比較的高い中高年に退職を選んでもらったほうが、人件費の削減・組織の若返りが図れるため、好都合なのです。
定年時にもらう退職金より多いからと、早期退職に応募しようかと迷う人もいるかもしれません。しかし、なんとなく退職してしまうのは危険です。
確かに、退職金がたくさんもらえたら嬉しいでしょう。しかし、仮に50歳で早期退職して再就職しないとなれば、50歳から65歳までの無年金期間の生活費に加えて、65歳以降の老後資金が用意できていないと、生活に困ることになってしまいます。
50代であれば人によってはまだまだ住宅費や教育費などがかかる場合や、将来叶えたい夢や目標にお金が必要な場合もあるでしょう。そうした費用を含めた「今後必要な金額の合計」が、早期退職で得られる割増退職金と早期退職時点の貯蓄ですべてまかなえるのかをよく確認する必要があります。
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