(※写真はイメージです/PIXTA)

日本ではすでに「60歳で定年退職する人」が少数派となり、多くの方が自身の老後のマネープランについて真剣に考え、対策に取り組んでいる現状があります。本記事では、老後困らないための年金の加入方法についてプロが解説します。※本記事は『会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)から抜粋・再編集したものです。

60歳未満で「就労」をやめるなら、国民年金に加入を

国民年金は20歳から60歳までの40年間(480か月)加入し、毎月国民年金保険料を支払う義務があります。会社員として働いている場合には、給与から天引きされる厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれているため、問題なく支払っています。

 

しかし、60歳未満で会社を辞めて働かない(無職)場合には、国民年金の第1号被保険者となり、自分で国民年金に加入して国民年金保険料を納める必要があります。なお、第1号被保険者は自営業者やフリーランスとその家族、学生なども該当します。

 

国民年金への加入の手続きは、お住まいの市区町村の役所・役場に「年金資格取得届」を提出して行います。年金手帳・本人確認書類・マイナンバーカードなどを持参して手続きしましょう。原則として退職後14日以内に手続きが必要です。

 

第1号被保険者が負担する国民年金保険料は月1万6590円(2022年度)です。おおよそ年20万円ほど負担する必要があります。

 

国民年金保険料の支払いは「義務」です。未納にすると、将来受け取れる年金が減るだけでなく、障害年金や遺族年金がもらえなくなったり、最悪の場合は財産が差し押さえられたりすることもありますので、必ず支払いましょう。

 

なお将来、国民年金を受け取るには10年(120か月)以上の国民年金保険料の支払いが必要です。

 

また、配偶者が会社員や公務員(第2号被保険者)の場合は、その配偶者の扶養に入る(被扶養者になる)ことも可能です。これを第3号被保険者といいます。第3号被保険者の保険料は、第2号被保険者が負担するので、かかりません。

 

扶養に入る条件は、年間収入(被扶養者となる年の年間の見込み収入)が130万円未満(20歳以上60歳未満)で、配偶者の収入の半分未満(同居の場合)であることです。なお、第3号被保険者となる手続きは、配偶者の勤め先で行います。

 

国民年金保険料の支払いが厳しい場合は、条件を満たせば手続きをすることで保険料支払いの免除・猶予を受けることができます。

 

免除や猶予を受けた期間は、年金の受給資格期間に含まれるうえ、免除の場合は保険料を支払ったときほどではないものの、もらえる年金額が増加します。

 

50歳以上の方の場合、納付猶予制度は利用できません。しかし、他の制度は利用できる可能性があります。詳しくはお住まいの市区町村にご相談ください。

 

免除や猶予を受けた月の保険料は、10年以内ならばあとから納付(追納)できます。追納すれば、本来保険料を納めた場合と同じ金額の国民年金が受け取れます。ただし、3年を超えて追納すると、保険料に一定の加算額がプラスされるので、できれば2年以内に追納しましょう。

 

なお、免除や猶予を受けていない場合、追納できるのは2年以内です。この場合も追納すれば本来と同じ金額の国民年金が受け取れます。

 

もしも20歳から60歳までの間に未納があった場合には、その分受け取れる国民年金の金額は少なくなってしまいます。実際、国民年金保険料に未納がある方は、意外と多いものです。

 

たとえば、「学生納付特例制度」は、20歳を迎えた大学生などが申請し、卒業まで国民年金保険料の支払いを猶予してもらう制度です。しかし、この制度はあくまで「猶予」ですから、10年以内に国民年金保険料を納める必要があります。この国民年金保険料を納めていない場合は、2〜3年程度未納期間があるということです。59歳時点で届くねんきん定期便やねんきんネットを見て、国民年金保険料の未納期間がないかを確認しましょう。

 

もしも、過去2年(免除・猶予の申請をしている場合は過去10年)より前に未納がある場合は、年金の追納ができないため、その分国民年金が減ってしまいます。仮に1年間未納があれば、65歳から受け取れる年金額は年約2万円も減ってしまうのです。

 

これを防ぐ制度に、国民年金の任意加入があります。任意加入は、60歳以上65歳未満の方が自分で国民年金保険料を支払うことで、国民年金の加入期間を増やすことができる制度です(厚生年金・共済組合加入者は除く)。

 

加入期間は最長で480か月まで増やせます。480か月に達すれば満額の国民年金が受け取れますし、たとえ480か月に達しなかったとしても、加入期間を5年(60か月)増やせれば単純計算で年10万円ほど国民年金額が増えます。

 

なお、国民年金の任意加入をしているならば、iDeCoも最長65歳まで掛金を出して運用を続けることが可能。さらに国民年金基金や付加年金といった、もらえる年金額を上乗せする制度も活用できます。それらをできるだけ活用することで、老後の年金額を増やせるでしょう。

 

◆国民年金基金と付加年金

 

 国民年金基金 

 

自営業・フリーランスで働いている人が国民年金に上乗せして年金を受け取れる制度。毎月掛金を納めることで、会社員・公務員の厚生年金にあたる年金を用意できる。掛け金全額が所得控除。


対 象:国民年金第1号被保険者
掛 金:月額最大6万8,000円
受取額:月額1万〜2万円(50歳までに1口加入時)
備 考:付加年金と併用できない、iDeCoと掛金枠を共有

 

 付加年金 

 

国民年金保険料に月400円上乗せするだけで、65歳からの老齢基礎年金に200円×納付月数の金額がプラス。付加年金保険料を2年で回収でき、その後は年金をもらうほどお得になる制度。掛け金全額が所得控除。


対 象:国民年金第1号被保険者
掛 金:月額400円
受取額:200円×付加年金保険料納付月数
備 考:国民年金基金と併用できない

 

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会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話

会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話

頼藤 太希

大和書房

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