そもそも「第一志望に受かる子」のほうが少数派
■中高一貫校への入学は難関大学への合格切符ではない
せっかく中高一貫校に入学できたのに、成績は低迷し、全国模試の偏差値も希望する難関大学には遠い…。それまでは「長い目で見よう」と思っていた親でも、子どもが中3になる頃合いになると、少しずつ焦りを感じてくるものです。ただ、そもそも第一志望の大学に受かる子どもの数は、日本全国の高3総数の10分の1以下と私は思っています。
関西の最難関中高一貫校でも、東大の合格は、6:4と言われています。全員が受かるわけではないのです。関西の某有名中高一貫校のある女子校では、中1時の国公立大医学部志望者は多い年では、30人近くにも上りますが、実際に現役合格するのは、その中の数名です。
第一志望は変えない。ただし「備え」はしておく
志望校は高2までは、子ども自身が変えると言わない限りは、変えないように伝えています。理由は2つです。
■理由①「志望校を変える理由」がない
特定の大学に向けた学習は、高2の終わり頃から始まります。現役生にとっては、そこまでは教科学習を深める時期です。志望校を変えたとしても勉強する内容は変わりません。そうであれば志望校を変える必要はないからです。
■理由②志望校を下げると、「努力」を下げる可能性が高い
勉強が上手くいかない場合に、志望校を下げる場合があります。間違いなく得策ではありません。多くの場合、志望校を下げると努力を下げます。むしろ、「努力を避けたいから、志望校を下げる」が子どもの本音です。一度ハードルを下げ始めると、どんどんハードルが下がっていきます。
■「合格しそうにないかも…」というときこそ、親の力の見せどころ
子どもには第一志望に向けての挑戦を促す半面、高2になればいろいろなシーンを想像してその時に備えておくべきです。
●現役合格にこだわるのか
●志望校変更はどこまで許すのか
●首都圏以外の関東地方や地方大学は認めるのか認めないのか
●医学部志望の場合は、私立医学部はあるのかないのか
などさまざまな可能性を想定しておくことをお勧めします。もちろん、その場合は信頼できる第三者がいれば、そのアドバイスに耳を傾けてください。
最悪の場合を想定しているからこそポジティブになれる
■筆者の進路指導
子どもと一対一で話す環境を作ったうえで、現状から見て、勉強が最高にうまくいった場合をイメージさせ、それを言葉にさせます。今度は反対に、勉強が最もうまくいかなかった場合をイメージさせ、それを言葉にさせます。最後に、最悪の結果の場合にどんなふうに挽回しているかをイメージさせ、これも言葉にさせます。
そのうえで、以下の話をします。
「僕は周りの人から最高のポジティブ思考の持ち主だと思われている。君もそう思うだろう。トークが滑っても滑っても笑顔を絶やさずに、また滑ってくる。どんな状況でも笑顔で応対してくれるって。でも本当は、ものすごく悲観的な考えの持ち主なんだ。常に最悪のことを考えて行動しているんだ。上手くいかないことや嫌なことがあっても、僕が考える最低の状況よりも、はるかにましなんだ。だから常にポジティブでいられるんだと思う。
たいていのことが想定済みなんだよ。平凡が一番という言葉は、そういうことなんだと思う。最悪を想定しているからこそ、何気ない日常が素晴らしく思えるんだ。最悪が分かることで、自信を持って前進できるということを君にも知ってほしい」
⇒最高と最悪を考えて行動する
⇒最悪を考えるからポジティブになれることもある
乾 俊和
株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長
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