ハンセン指数 21,830.35 pt (▲0.13%)
中国本土株指数 7,647.70 pt (▲0.25%)
レッドチップ指数 3,935.77 pt (▲0.40%)
売買代金1,314億5百万HK$(前日1,514億7百万HK$)
香港市場は、カジノ株、不動産株が下落
連休明けの香港株式市場は続落し、ハンセン指数は前営業日比0.13%安と小幅ながら3日続落となった。週末に中国本土での新型コロナウイルス感染が拡大したことが報じられ、警戒が広がって、上値が重い展開となった。ただ、指数は日中、前営業日比プラス圏で推移する場面もみられ、先週発表された中国の景況感改善や、追加経済対策の効果への期待を背景に、足元は下値が底堅い展開が予想される。
下半期入りした香港株については楽観的な見方も広がっている。ハンセン指数は年初来で約4.2%下落した水準にあり、現在の株価収益率は11.2倍水準である。大手金融機関は、同指数が21,000~25,000ポイントの間で安定すると予想を発表、秋の中国共産党大会に向けてさらなる経済対策の期待も高まっていることから、強気派も増えている。
7日の香港市場はカジノ関連株が下げた。マカオ政府が発表した6月のカジノ収入は24.7億パタカで、前月比25.8%減、前年比62.1%減少したと報告したことが材料視された。メルコ(0200)、ウィン・マカオ(1128)は同4%安、MGM (2282)、サンズ・チャイナ(1928)は同3%安、銀河娯楽(0027)などが下落した。感染拡大が続くマカオでは累計感染者数が3日午前0時時点で784人となり、すべての娯楽施設(カジノ除く)は営業停止措置が取られている。カジノにも7月から顧客と従業員には48時間以内の陰性証明提出が義務付けられたほか、従業員の出勤制限なども求めれている。今月はさらに通常の業務に制限もかかるとの噂もあり、これらが嫌気され、見通しの不透明から売りが先行した。
不動産株も下落、週末、実質的なデフォルトとなった世茂集団が嫌気され同セクターが軟調となった。香港上場の不動産銘柄で構成される不動産指数も他指数を大きくアンダーパフォームし前日比1.5%安。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)、香港不動産の九龍倉置業地産投資(1997)は同4%安、碧桂園(2007)はそろって同3%近く下げた。
上海に拠点を置く中国不動産開発会社の世茂集団(0813)は7月3日に期限を迎えた表面利率4.75%の米ドル建て社債について、10億2000万ドルの元利金返済ができなかったことを報告した。同社は総額61億ドルの債券を発行しており、その規模は中国不動産開発で6番目に大きい。中国の不動産開発業界では昨年、最大手の中国恒大集団のドル建て社債でデフォルトが発生して以来、外貨建て社債のデフォルトが相次いでいる。同社に続き、佳兆業集団(1638)、融創中国(1918)とこの業界トップの5社のうち3社がドル建て社債のデフォルトを起こしている。いずれも株式取引は停止されている。
中国本土株は上海総合指数が反発し前営業日比0.53%高の3405.43、同指数は約4ヶ月ぶりの高値を記録した。CSI300は同0.66%高の4,496.03で引けた。本日は、本土と香港の間で「ETFコネクト」が始まっており、諸外国からの資本流入期待は大きい。また、先週金曜日、中国人民銀行は3000億人民元の債券を発行し、インフラ投資などのプロジェクトを進めると述べた。引き続き中国政府の追加経済対策への期待が株式相場を支える展開となった。
中国では新型コロナの感染が拡大
週末の中国の新規感染者数は再び増加傾向が続き、中国本土の新規感染者数は2日連続で300人超となった。3日の感染者数(無症状者含む)は373人(前日473人)、その大部分が上海に近い東部の安徽省が占め287人、上海の西側に位置する江蘇省が56人にのぼった。既に省内の2つの県が封鎖されている。
上海については新規感染は3人、北京は3日ゼロと大都市で感染拡大を抑え込んだもようだが、同国が堅持する「ゼロコロナ」政策は上海にちかい東部エリアで再び試練を迎えている。リバウンドリスクになお直面する一部の都市もみられ引き続き警戒が高まる。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>