(※写真はイメージです/PIXTA)

現代社会で多くを占める慢性疾患の発症要因には、腸内環境や「リーキーガット症候群」の有無が大きく関わっていると分かってきました。リーキーガット症候群を中心に、これらを発症・悪化させる要因について見ていきましょう。※本稿は、小西統合医療内科院長・小西康弘医師並びに株式会社イームス代表取締役社長・藤井祐介氏との共同執筆によるものです。

④マイクロバイオータ(腸内細菌叢)の乱れ

マイクロバイオータは腸内細菌叢(そう)や腸内フローラとも言われます。このバランスが崩れ、多様性が消失することで、腸管粘膜のバリア機能が低下します。マイクロバイオータと腸管上皮細胞とはメッセンジャー物質を介して、密接に情報交換をしていることが近年の研究で分かっています。この情報交換を「クロストーク」と言い、それによって腸管上皮細胞は粘液のバリア機能を維持しているのです。

 

たとえば、マイクロバイオータの一種から出されるメッセンジャー物質は腸管上皮細胞に粘液を分泌するように指令を出し、腸管上皮細胞の表面を覆います。また、別のマイクロバイオータは別の腸管上皮細胞に働きかけて、粘液の中に分泌型免疫グロブリン(分泌型IgA)という物質の分泌を促します。この分泌型免疫グロブリンは、粘膜の表面で腸管内の毒素や病原体に結合して、私たちの身体を守る働きをします。これはほんの一例に過ぎませんが、マイクロバイオータのバランスが崩れることで腸管のバリア機能が低下し、身体にとって有害な物質や炎症を誘発する物質が体内に入り込みやすくなるのです。バランスの取れたマイクロバイオータは腸管にとっては非常に重要なバリア機能の役割を果たしているということです。

「ストレス下での食事」は腸管の障害に結びつく

今回は腸管ディスバイオーシス、リーキーガットを誘発する要因をいくつか見てきました。

 

ストレスの多い現代社会においては、規則正しい食事や、よく噛むようにゆっくりと食べること、食事を心から楽しむといった基本的なことが守れている人は少ないのではないかと思います。慢性的なストレスは自律神経を介して、消化機能の低下に結びつきます。このようなストレス下での食事が未消化なタンパク質による腸管の障害に結びつくのだということは知っておいていいのではないでしょうか。

 

薬剤による消化管のダメージについては、今回述べた制酸剤や抗生剤に限らず、解熱鎮痛剤、ピルなども影響を与えます。だからといって薬を使用することを頭から否定しているのではありません。病気を長引かせないためにも、必要な場合にはきっちりと使用することは重要だと思います。使用する必要がないときにまで使用しないというメリハリが大切なのではないかと思います。

 

 

 

小西 康弘

医療法人全人会 小西統合医療内科 院長

総合内科専門医、医学博士

 

藤井 祐介

株式会社イームス 代表取締役社長

メタジェニックス株式会社 取締役

株式会社MSS 製品開発最高責任者

 

 

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