(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです(取材日:6月26日)。円安、株安、金利上昇(債券価格下落)……おまけに暗号通貨も大幅安。とはいえ、現金で持っていても、昨今の物価上昇で実質的な資産価値は目減りしている状況です。そのようななか、いったいどのような投資をおこなえば資産を守ることができるのでしょうか。荒れた相場でこそ真価を発揮する「ヘッジファンド」についてみていきます。

市場が大きく荒れるなか、「CTA戦略」が強い

今回は不透明な環境下、2022年初から5月末までで良好なパフォーマンス([図表2])となっている「CTA」戦略を簡単に紹介したい。

 

  (※)ヘッジファンドの戦略の概要や使用指数データについては巻末参考4、5を参照 6月20日にデータ取得
[図表2]ヘッジファンド(ユーリカヘッジ)の9戦略の動向(2022年初来騰落率)※ 6月20日にデータ取得

 

CTA戦略は、機械的運用や金融工学等も駆使し、先物やオプション取引等に直接または商品投資顧問業者を介したうえで、主にトレンドに追随(トレンドフォロー)しようとする投資手法・戦略。

 

CTA内でも戦略は多様であり、トレンド逆張り型に加え、トレンドフォロー系でも日次、週次、月次、日計り型などの多様な時間軸モデルがある。主にテクニカルデータを活用しているCTA戦略は多いが、なかにはファンダメンタルズデータも考慮したCTA戦略モデルもある。

 

加えて、短期の価格トレンドや平均回帰の動きからの収益獲得を狙うレラティブバリューミックス型のモデル戦略もある。

 

また株式、通貨、商品、その他のオルタナティブ資産への投資配分において相対的に強いトレンドが発生していると見込まれる資産に対して積極的・機動的にアセットアロケーションを行うCTA戦略もある。

 

株式市場が大きく調整色を強める場合や商品市場にトレンドが発生しているときには他の戦略をアウトパフォームする傾向もみられる。先行きの市場に不透明感が残るなかでは、こうしたヘッジファンド戦略のひとつであるCTAに分散投資することも一案となろう。

今後のヘッジファンド投資戦略

年後半にかけての投資においては、米中間選挙の不透明感に加え、FRBによる引き締め強化やロシア・ウクライナ情勢を背景(経済制裁強化による景気の落ち込み等)とした業績悪化懸念などもあり、リスクシナリオの顕在化としての市場の調整リスクにも備えた投資戦略・ポートフォリオの構築も肝要とみる。

 

そのため、ポートフォリオに一部ヘッジファンドを組み込むことも一案だろう。引き続き、ヘッジファンド戦略においてはCTAやグローバルマクロ系の戦略を選好し、私募、公募投信なども活用しながら市場変動に対応したい。

 

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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