家賃を決めるはやはり「需要」
家賃は物件が古くなったこと、つまり築年数が古いことが原因で下がるわけではありません。家賃は需要で評価されるのです。最寄り駅から、徒歩10分、15分、20分と離れれば離れるほど競合物件が増えます。
たとえば、今年、新築ワンルームマンションが建ったとしましょう。都内のワンルームマンション(一人暮らし用)の賃料相場は、大卒初任給の3分の1程度といわれています。現在の大卒初任給から逆算すると、家賃は平均8万円くらいではないでしょうか。
翌年、その物件の隣にマンションが建ちました。新築のマンションの家賃はやはり8万円です。ここで「新しい物件と古い物件」のうち、入居者はどちらを選ぶでしょう。もちろん、新しい物件を選びます。家賃が同額なら、新築物件が選ばれるのは当然です。そして、「新しいものと古いもの」があれば、古いもののほうが値段が安いのは、市場の原理です。
そのため、古い物件で入居者を確保するためには、新築物件よりも家賃を下げざるを得ません。たとえば、8万円を7万9000円にすれば、入居者が集まるとしましょう。しかし、翌年以降も同じような原理が働くと、家賃はどんどん下がってしまいます。これが「家賃が下がる」という現象です。
都心部には競合物件を建てる「土地」自体が少ない
不動産を建てる土地があればあるほど、このような現象が起きやすくなります。しかし、東京23区、山手線から電車を乗り継ぎ10分、最寄り駅から徒歩10分以内のエリアは土地の余剰が少ないため、不動産が乱立しにくく、競合物件が出にくいといえます。
そのため、立地にもよりますが、築20~30年経過していても、新築とほとんど変わりのない賃料で貸し出している物件も多くあります。
その仕組みについて、次回からもう少し詳しく説明しましょう。