前回は、賃貸物件の価値を評価する「収益還元法」について説明しました。今回は、投資用賃貸不動産の「地震・火災」リスクにどう備えるかを見ていきます。

大震災時に被害が少なかった「新耐震基準」の建物

ワンルームマンションは地震に最も強い2011年の東日本大震災を経験し、私たちは地震に対する備えの大切さを思い知らされました。そもそも不動産というのは、その名の通り、動かすことができない資産ですから、地震などの天災の被害を受ける可能性があります。

 

しかし、多くの物件では、大きな地震に遭っても耐えられるように設計・建築が行われています。事実、東日本大震災や阪神・淡路大震災の被害を検証したところ、鉄筋コンクリート造のマンションは、ほとんど被害が発生していません。

 

建物を建てる際には、建築基準法に定められたルールに沿って工事が行われます。建築基準法には、耐震に関するルールも設けられています。その建築基準法は1981年に改正されましたが、その際に耐震基準についても強化されました。

 

つまり、1981年以降に建築された建物は、より基準の厳しい新耐震基準に沿っていることになります。阪神・淡路大震災における、旧耐震基準と新耐震基準の被害状況を見ると、旧耐震基準では全壊(大破)した建物は28.5%ですが、新耐震基準の建物ではわずか8.6%しかありません。

 

また、ほとんど被害のなかった建物は旧耐震基準では34.2%ですが、新耐震基準では70%を超えています。新耐震基準で建築されている現在の建物であれば、地震の被害の心配はほとんどないのです。

 

実際に、阪神・淡路大震災で被害を受けた建物の多くは建築基準法が改正される前の1980年以前に建てられたものでした。1981年以降の建物はほとんど被害がなかったのです。

 

この震災時に建物が生死を分けたという記事が当時の新聞に掲載されました。ワンルームマンションに住んでいた人は、皆さん無事だったのです。一方で古い文化住宅に住んでいた人の中には亡くなった人も多く、住まいが生死を分けたというのです。

 

東日本大震災の際は、あれほどの被害状況にもかかわらずマンションの倒壊はありませんでした。マンションは、そもそも構造的に地震に強いといわれています。その中でも、1戸の専有面積が小さく、単純な形の集合体であればあるほど、強固だといわれています。その点、ワンルームマンションは、ファミリータイプのマンションと比べて専有面積が小さいですし、形状も単純ですから、非常に地震に強い建物といえます。

 

【図表 阪神・淡路大震災における被害状況】

オーナー、入居者ともに「火災保険」は加入必須

火災に対する備えはどうでしょうか。

 

そもそもマンションは、木造家屋とは違って火災が発生してから30分~3時間は延焼しない耐火構造で建築されています。

 

加えて不燃材料の鉄筋コンクリートで造られているため、マンションの火災のうち、9割以上はボヤで済んでいます。火事の発生が通報されてから、消防車が到着するまでの平均時間は7~9分ですから、火事で全焼したり、隣に延焼するケースは稀です。そもそも火事の被害を受けるリスクは小さいのです。

 

それでも被害が生じてしまった場合には、火災保険で対応が可能です。物件を購入する際にオーナーは火災保険に加入します。

 

また、入居者にも賃貸契約の際に、契約期間と同じ期間の火災保険に加入してもらいます。それは、室内からの火災は入居者の過失になることもあるからです。いざというときには、入居者の火災保険も役に立ちます。

本連載は、2016年5月20日刊行の書籍『30歳から定年までで2億円つくるほったらかし資産運用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、幻冬舎グループ、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

30歳から定年までで2億円つくる ほったらかし資産運用術

30歳から定年までで2億円つくる ほったらかし資産運用術

宮園 泰人

幻冬舎メディアコンサルティング

年収減少、増税、年金不安・・・サラリーマンの老後はどん底貧乏間違いなし!! 「下流老人」「老後破産」・・・サラリーマンの多くが、老後の生活に不安を抱えています。定年後の安定した生活には最低1億円、ゆとりのある生…

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