教育に燃えた20代、全力で駆け抜けた30代、何事にも野心的だった40代、学校現場と教育委員会の狭間で闘った50代、そして、肩書から解き放たれた60代。これからを担う世代へエールを込めて教師としての生き様を刻み込む!

一次試験で門前払い

さて、肝心の教員採用試験であるが……。大学4年生の時、教師になりたい気持ちは誰よりも強く、十分に満ち溢れていたが※2、肝心の試験勉強は疎かになっていた。そんな訳で、その年の公立高校の採用試験は、ものの見事に失敗し、一次で門前払いとなった。

 

余談ではあるが、その「不合格通知」を受け取った日のことを今でも鮮明に覚えている。

 

当時、私は都内某所の築何十年もする古いアパートに住んでいた。郵便物はすべて同じ敷地内にある大家さん宅の郵便受けに届けられ、その後大家さんを介して受け取ることになっていた。採用試験の結果は、「はがき」で届くことになっていたので、結果は“もろ丸見え”状態になることは明らかであった。

 

そこで、恥をかきたくないとの一心で、数日前から大家の郵便受けや郵便配達人のバイクの音などに敏感になっていた。幸いにして、丁度その日、配達人と出くわし、私宛てのものを尋ねると、偶然にもその時、結果通知があったので、大家にバレずに済んだという次第であった。

 

とはいえ、さすがの私も、その不合格通知でようやく目覚めたのか、その後大奮闘し、その年の秋に行われた「私学教員適性検査」※3では、「AA判定」をもらうことができた。この判定結果を“武器”に、私学教員の口を探し、積極的に“就活”を行うこととなったが、上手いことマッチングはしなかった。

 

※2:学生時代は、大学のサークル「教師をめざす会」に所属し、外部講師を招聘して教育問題に関する講演会を主催したり、日常的に仲間と教育論を熱く語り合ったりしていた。またアルバイト感覚ではなく、将来教員になることを前提に家庭教師をやり、小中学生を対象に5~6人を指導していたこともあった。そのためか、金銭的なゆとりもでき、エアコンやステレオ、ソファベットなども買い揃え、それなりの学生生活を送っていた。

 

※3:「私学教員適性検査」東京都内の私立中学校及び高等学校の教員を志望する者に対し、教員としての資質と適性の基礎的・基本的な事項について検査することを目的としたもので、「専門教科・科目(80分)」と「教職教養(50分)」の2つの検査が課せられる。結果はA~Dの判定が付与され、専門と教職の両方ともに優秀の場合は「AA判定」となる。(出典:「私学教員適性検査実施要項」(一般財団法人東京私立中学高等学校協会)より一部参照)

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本記事は、20年10月刊行の書籍『ザ・学校社会 元都立高校教師が語る学校現場の真実』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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