コロナ禍で日本企業のリモートワークが進んだ一方で、アウトソーシングも進んでいます。リモートワークに安心している人材は職を失うかもしれません。これからの時代に求められるのは、高いスキルと経営マインドを持った人材です。ビジネスの現場で何が起きているのでしょうか。大前研一氏が著書『日本の論点 2022~23 なぜ、ニッポンでは真面目に働いても給料が上昇しないのか。』(プレジデント社)で解説します。

日本企業の業績が伸び悩んでいるが当然な理由

■マッキンゼーで私が実践した人材インキュベート法

 

マッキンゼー人材がなぜここまで伸びるのかといえば、「新卒採用の場合は32歳、中途採用の場合は35歳までに社長になれないやつはダメだ」と言って、ガンガン鍛えたからだ。日本の大企業とは違って、1年目から経営的な視点を持つようにさせ、徹底的に仕事を任せた。

 

そういう実体験から感じたのは、1年目からそういう教育システムで鍛え上げたら、日本人でもアメリカ人や中国人に引けを取らないくらいまで育つということだ。

 

「日本人はアメリカ人や中国人のようにうまくビジネスができない」という意見もあるが、そんなことはない。単に年功序列などの日本特有の人事システムが、日本企業の経営力の低迷を引き起こしているにすぎない。入社して10年以上見習いみたいな仕事をさせれば、そういう染色体を持った人間が生き残ってしまうのだ。大卒の約3割は3年以内に退職してしまうという統計もあるくらいだ。

 

とはいえ、今のマッキンゼーは様変わりしてしまっている。他のコンサルティングファームもそうだが、クライアント企業が優秀な人材を採用できないからと、コンサルティングファームが頭脳人材の集団派遣をしているというのが実態だ。企画部隊に企画をさせ、企画部隊とは違った実行部隊が実行の面倒を見るというような、いわば「高級人材一時貸し出し会社」のようになってしまった。

 

■日本企業の人材育成政策は今すぐ変えるべし

 

私がいた頃のマッキンゼーのような人材育成システムを実践している企業といえば、創業者・江副浩正氏が唱えた「32歳定年説」を実践するリクルートがある。

 

新卒で採用されてから10年後に1000万円をあげるから、それまでにリクルートを卒業しなさいというわけだ(近年は「32歳」ではなく35歳と言われているが、リクルート出身の起業家は少なくない)。

 

このほか、最近で言えば「新入社員に社長をやらせる」仕組みがある、藤田晋氏が創業したサイバーエージェントもユニークだ。1年目から社長になれば、戦略だけでなく人事の問題、財務の問題など、経営に必要な幅広いノウハウが実践的に身についていく。

 

日本の伝統的な企業では、若手・中堅社員は上司の資料づくりばかりで、経営に初めて触れるのは入社してから20~30年後。そんなトップが経営する日本企業の業績が伸び悩んでいるのは至極当然だろう。

 

日本企業は人事制度を抜本的に見直し、優秀な人材を世界中からサイバー採用したり、加速インキュベート(育成)したりするシステムの構築を、果敢に実行に移していかなければならない。

 

結論!
コロナ禍でサービス業を中心に新卒採用減が続いているが、企業のアウトソーシングシフトが進んでいる現在、これが回復する可能性は低い。また、リモートワークに安心している人材は職を失うかもしれない。これからの時代に求められるのは、高いスキルと経営マインドを持った人材である。

 

大前 研一
ビジネス・ブレークスルー大学学長

 

 

↓コチラも読まれています 

ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか

富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由

 業績絶好調のジャルコのJ.LENDINGに富裕層が注目する理由 

コロナ禍で急拡大!トラックリース投資に経営者が注目する理由

  「給料」が高い企業300社ランキング…コロナ禍でも伸びた会社、沈んだ会社

あなたにオススメのセミナー

    本連載は、大前研一氏の著書『日本の論点 2022~23 なぜ、ニッポンでは真面目に働いても給料が上昇しないのか。』(プレジデント社)から一部を抜粋し、再編集したものです。

    日本の論点 2022~23

    日本の論点 2022~23

    大前 研一

    プレジデント社

    「なぜ日本では真面目に働いても給料が上昇しないのか」――。 約2年間にわたり猛威を振るい、各国の政治経済に深刻な影響を与えた新型コロナウイルスは、ワクチン接種が進んだ結果、いまだ予断を許さないとはいえ、世界は新…

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ